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日本熱帯医学会女性賞に金准教授 岡山大大学院マラリア治療薬研究

金恵淑准教授

 岡山大大学院の金恵淑(キム・ヘスク)准教授(医薬品開発学)が、熱帯での疾患に関する研究で国際的な業績を上げた女性を対象とした日本熱帯医学会の第1回女性賞を受賞した。マラリアの治療薬開発に向けた研究などが評価された。

 金准教授は1990年代後半から抗マラリア薬の開発に携わっている。約8千種類の天然物質や人工的に作られた有機物を調べ、解熱効果のある有機化合物「N―89」を新薬候補として選抜。内臓の慢性疾患を引き起こす「住血吸虫症」の治療薬となり得る別の有機化合物も見いだしており、熱帯病の克服に向けた貢献が顕著として女性賞に選ばれた。

 N―89は低コストで大量生産できるのがメリット。金准教授は、マラリアによる死亡率が高い乳幼児にも使いやすい塗り薬や貼り薬としての活用をにらみ、製薬会社との共同開発を目指している。金准教授は「賞に見合う成果を出して世の中に貢献できるよう一層研究にまい進していきたい」と話している。

 マラリアは蚊に寄生する原虫が引き起こす感染症で、アフリカが主な流行地域。世界保健機関(WHO)は2017年の世界中の死者数を約43万5千人と推定。このうち5歳未満の子どもは61%を占めた。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年12月18日 更新)

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