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光を当てて細胞内にRNAを導入 岡山大大学院教授ら新技術開発

光を当てた「CLIP」の文字の部分にだけRNAが導入されていることを示す培養細胞

大槻高史教授

 岡山大大学院の大槻高史教授(生体分子工学)の研究グループは、遺伝情報の伝達を担うRNA(リボ核酸)に光を当てることで、細胞内に導入したり、機能させたりする新たな技術を開発した。光を当てるタイミングによって、働き始める時間や場所も自由に決めることができる。特定の遺伝子の働きを抑える研究に応用できるという。

 細胞内にはさまざまなRNAが存在し、タンパク質の合成に関わっているほか、遺伝子の働きを調節している。ただ、役割が不明のものも多く、研究グループは、あらかじめ作製したRNAを用い、意図した場所や時間で働かせて観察すれば、役割を明らかにできるという視点から研究に取り組んだ。

 光に当たると活性化する「光増感剤」とタンパク質を材料に、RNAの運び役となる物質を合成。ヒトや動物の培養細胞で実験すると、光を当てるとRNAがこの物質と結合し、細胞内に運び込まれることを確認した。今回の技術を使えば、RNAが素早く細胞内に運び込まれ、1~2時間程度だけ働くという。

 大槻教授は「特定の遺伝子の働きを抑制するRNA干渉という仕組みを利用し、病気の原因遺伝子の働きを抑えるRNAの輸送手段として応用していきたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2019年01月27日 更新)

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