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カテーテル挿入の補助具を開発 岡山大大学院と重井医学研病院

管を正確に挿入するための補助具

 岡山大大学院の大原利章助教=免疫病理学=と重井医学研究所付属病院(岡山市南区山田)の櫻間教文外科部長は、高齢の人工透析患者に対して行うカテーテル(細い管)の手術で、管を正確に挿入するための補助具を開発した。皮膚に目印を付け最適なルートを設定することで、安全性の向上につながるという。

 カテーテル手術は、人工透析患者のうち加齢などで心臓が弱り、腕の動脈と静脈を人工的につないだ血管(シャント)をつくることができないケースで行っている。管は右胸の皮下から首の付け根近くの静脈を経て、心臓付近まで通して固定する。

 補助具は、金属の輪約40個を連ねたベルト状の樹脂で長さ約40センチ。エックス線画像で確認しながら皮膚の上に補助具を配し、管の挿入箇所や静脈部分にペンで印を付け、ルートを確定する。印に沿って挿入していくことで、正確な処置が可能になるという。

 通常でも管はエックス線画像を参考に挿入しているが、ルートが静脈付近でU字状に曲がり、医師の技術と経験に頼る部分が大きかった。管の先端が適切な場所に固定できないと、透析中に血液の流れが悪くなったり、血栓の原因になったりするケースがある。

 同病院で患者10人に対して行った臨床研究では、挿入完了後の先端部分のずれを調べたところ、1センチ前後に抑えられたこともあり、樹脂加工のケイ・テクノ(倉敷市北畝)が成果を基に製品化し、昨年から販売を始めた。

 大原助教は「高齢化が進み、シャントがつくれない心不全の透析患者は今後も増えると予想される。滅菌すれば何度でも使えるといったコスト面での利点もあり、補助具を周知していくとともに、海外への市場展開も検討したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2019年02月04日 更新)

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