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御津医師会の独自活動まとめ出版 地域ケア充実へ10年間取り組む

「見放さないその命」を自費出版した御津医師会の医師たち

御津医師会が自費出版した「見放さないその命」

 岡山市北部と西部、岡山県吉備中央町の一部をエリアとする御津医師会は、住み慣れた地域で最期を迎えられる在宅医療や適切な医療や介護を一体的に提供する地域包括ケアの充実に向けた医師会独自の活動をまとめた「見放さないその命」を自費出版した。

 2008年から10年間の活動を紹介している。本書によると、最初に取り組んだのは夜間に内科や小児科の医師が交代で患者を受け入れる夜間診療輪番制の創設。軽症の場合は大規模病院に行かないように広報をした。次に、医師自身が病気やけがをした時も休診せずに済むよう、代診の医師を派遣し合う体制を整備した。

 背景には地域医療の崩壊に対する危機感があったという。軽症にもかかわらず高度治療を担う大規模病院に行く「コンビニ受診」や救急患者のたらい回しなどが全国各地で顕在化。新人医師に義務付けられた臨床研修制度によって都会の病院を研修先に選ぶ医師が増えた結果、地方の医師不足が深刻化していた。会員医師間の連携強化と、診療所と病院との役割分担の明確化を図り、地域医療に対する住民の信頼をつなぎ留めようとした。

 国が在宅医療の推進にかじを切るのに伴い、近隣の病院の協力を得て、在宅患者の容体が急変した際、すぐに入院できる体制を整えた。人生の最終段階で延命治療を望むかどうかを事前に考えてもらうための啓発ビデオも制作した。遺族や訪問看護師らが集う「故人を偲(しの)び想(おも)いを語る会」を毎年開いている。

 同医師会の会員は121人。昨年、地域医療や保健活動に貢献した団体、個人に贈られる「保健文化賞」(第一生命保険主催)を受賞したのを機に出版した。1500円(税別)。

 問い合わせは御津医師会(086―259―3812)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2019年02月11日 更新)

タグ: 介護医療・話題

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