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重度障害者向け人間ドック開始へ 旭川荘、4月から事業化

移乗用のリフトを備え、重度障害者の人間ドックに使われる歯科診療台=旭川荘療育・医療センター

 社会福祉法人旭川荘(岡山市北区祇園)は4月から、重度を中心とする在宅障害者向けの人間ドック事業を始める。障害の特性を踏まえた診療技術や施設が整う療育・医療センター(同所)で毎月第3火曜日に実施する。全国でも数少ない取り組みという。

 標準メニューとして、身長・体重測定や血液・尿検査、食べて飲み込む機能の検査、歯科検診、背骨のゆがみをチェックする整形外科検診を用意。卵巣がんや前立腺がんの腫瘍マーカー検査などもオプションで受けられる。対象はおおむね40歳以上の知的・身体障害者らで、料金は標準メニューで2万円。

 旭川荘などによると、重度障害者は「周りに迷惑」などと気兼ねして一般病院の人間ドック受診を控えたり、病院にかかっても症状をうまく伝えられなかったりして病気が進む例が少なくない。一方で専用の人間ドックは、レントゲン撮影時に体位を変える技術やコミュニケーション力など医師や技師らのスキルと一定の設備が必要で、導入例は国立障害者リハビリテーションセンター(埼玉県)など全国数カ所に限られる。

 旭川荘は、障害者専門の総合外来がある療育・医療センターで重度障害者と関わる中で、人間ドックの必要性を痛感。必要な技術と移乗用のリフト付き歯科診療台など設備もあることから導入を決めた。

 岡山県によると、県内の重度障害者は2018年3月末現在、身体障害が3万3900人、知的障害が5710人。

 旭川荘は運用開始後、ニーズを見極めながら実施態勢を見直していく考えで、小幡篤志企画広報室長は「重度の障害者が病気を早期に発見し、より豊かな人生を歩む助けになれば」としている。詳細は法人のホームページに掲載中。問い合わせは療育・医療センター(086―275―4057)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2019年03月05日 更新)

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