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花粉症の季節、早めの治療が大切 川崎医大病院の兵医師に聞く

花粉症の症状や対策について話す兵医師

 今年も花粉症のシーズンがやってきた。岡山県内では2月15日にスギ花粉の本格的な飛散が確認され、ヒノキ花粉を合わせた飛散量は例年の2~1・3倍に上ると予測される。川崎医科大付属病院(倉敷市松島)耳鼻咽喉科の兵行義医師に花粉症のメカニズムや対策を聞いた。

 ―花粉症とはどのように発症するのか。

 体内に花粉が入ると、体が異物と認識して抗体をつくり、肥満細胞と結合する。再び花粉が入ると、肥満細胞からヒスタミンなど化学伝達物質が放出され、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみといった症状が出る。皮膚がかゆくなる場合もある。重症化すると鼻の奥に炎症が広がる副鼻腔(びくう)炎を起こすことがあり、頭痛や頭が重い感じがするときは注意が必要だ。

 ―風邪との見分け方は。

 さらさらの鼻水が出て、目のかゆみや涙目などの症状があれば花粉症、発熱があり、粘り気のある白や黄色がかった鼻水が出る場合は風邪が疑われる。症状に関する問診や鼻の視診、採血検査を行うなどして診断している。

 ―県内ではスギ花粉の飛散開始が平年より早く、ピークはスギが3月上旬、ヒノキが4月上旬となる見込みとなっている。

 川崎医科大付属病院でも屋上でスギ花粉の飛散量を毎日測定しているが、2月下旬から急速に増加し、同じように外来受診者も急増している。例年この時期は、症状はまだ出ていないものの早めに受診したという患者が多いが、今年は既に発症しているケースが目立つ。県内はスギ、ヒノキに加えて、イネ科植物による花粉症も多く、5月の連休明けから6月にかけて流行する。

 ―治療法は。

 抗ヒスタミン薬を服用し、症状がひどい場合は鼻噴霧用ステロイド薬を点鼻するのが一般的で、重症化を防ぐには、できるだけ早く治療を始めることが大切だ。スギ花粉症では、スギ花粉を含有する錠剤を服用して花粉症を治す「舌下免疫療法」という方法もある。いわゆる体質改善で、非飛散期の6月ごろから3年間にわたって行う。中学、高校生は飛散時期が受験シーズンと重なるため、対策に検討してみてはどうか。

 ―日常生活で気を付けることは。

 まずは花粉を吸わないようにすることを考えてほしい。外出時にはマスクや眼鏡を着用し、家に入る前には服に付いた花粉を払い落とす。洗顔やうがいも効果的。また、飛散時期は布団を外に干すのは控えたほうがよい。目の症状や皮膚のかゆみには乾燥が関わっているので、ドライアイ用の目薬を点眼したり、保湿剤を塗ったりしてセルフケアすることが重要だ。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2019年03月07日 更新)

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