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全国初カテーテル治療 心房中隔欠損症 岡山大病院スタート 手術なし、入院2、3日 患者の負担 大幅減

閉鎖栓(図)

 岡山大病院は、心臓内部の壁に穴があく先天性の「心房中隔欠損症」の患者に対し、外部から通したカテーテル(細い管)を操って穴をふさぐ治療を始めた。心臓をいったん止めて切開する従来の外科手術より、患者の負担を大幅に減らせる。国立循環器病センター(大阪府)、埼玉医科大(埼玉県)と並んで全国で初めて。

 心房中隔欠損症は、心臓内を仕切る壁の穴から血液が漏れ、心臓から肺に流れる血液が増加。肺に血液がたまり、息切れや呼吸困難を引き起こす。国内では千五百~二千人に一人とされる。

 カテーテル治療は、直径二、三ミリの管を大腿(だいたい)部の付け根の静脈から挿入。血管を伝って心臓に送り込んだ後、先端の閉鎖栓を左心房、右心房の両側で傘状に開かせ、最大で直径三・八センチまでの穴をふさぐ。閉鎖栓は特殊な形状記憶合金と布でできている。

 従来は人工心肺を用い、心臓を止めて穴を縫い合わせるなどの外科手術が行われ、十日~二週間の入院が必要だった。カテーテル治療では二、三日に短縮できる。欧米で広く行われ、国内では厚生労働省が三月に承認。心臓手術の実績などから、三病院が最初の実施個所に選ばれ八月、治療をスタート。二十七日までに計十八例が行われた。

 岡山大病院は小児科の大月審一講師、循環器疾患治療部の赤木禎治助教授らが五~十三歳の女子計六人に治療。二・四~一・二センチの穴をふさぎ、既に退院したという。

 大月講師は「保険が適用されない費用の問題や、穴の数、位置によって難しいケースもあるが、心臓や体に傷をつけず、退院直後から通常の生活ができるメリットは大きい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年08月29日 更新)

タグ: 健康岡山大学病院

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