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玉野市民病院小児科に医師派遣 日赤などから、連携で医療維持

 小児科の常勤医が3月末で定年退職する玉野市民病院は、小児科医が不在となるのを防ぐため、4月から岡山赤十字病院(岡山市)と岡山市立市民病院に医師を派遣してもらう。全国的に小児科医が不足する中、玉野市民病院でも後任確保は難航したが、都市部の基幹病院との連携で小児医療を維持できることになった。

 市民病院の小児科外来診療は現在、常勤の医師1人が月~金曜日の午前に担当している。4月以降は火曜と水曜に岡山赤十字病院と岡山市立市民病院の派遣医師が診察し、月曜と金曜は現在の常勤医が引き続き非常勤で担当。木曜は休診となる。

 常勤医不在で入院対応はできなくなり、外来だけとなるものの、山原茂裕院長は「入院が必要な場合は経験豊かな専門医がいる岡山赤十字病院、岡山市立市民病院とのパイプを生かして対応できる」と説明する。

 厚生労働省の医療施設調査で、全国の小児科がある医療施設は2017年まで24年連続で減少。特に地方での医師確保は容易ではないという。市民病院では、常勤医の定年を見越して今年初めから本格的に後任を探してきたが、確保が難しく、両病院に協力を要請していた。火曜に小児科部長を派遣する岡山赤十字病院の辻尚志院長は「安心して子育てするには地域で身近に受診できる小児科医が欠かせない」と話す。

 水曜は岡山市立市民病院の小児科部長ら医師2人が交代で診察する。岡山市立市民病院は、自治体病院間の連携で既に市民病院へ毎週3人の内科、外科の医師を派遣し、月~水曜の夜間の救急当直を担っている。今回の小児科医派遣も連携の一環。

 松本健五院長は「医師など医療を担う人的資源には限りがある」と強調した上で、「医師が多く集まる都市部の自治体病院が、医師不足で困っている地方の医療を支えるのは使命だと思っている。岡山、玉野という行政区域を越えて支援したい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2019年03月13日 更新)

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