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パーキンソン病 友の会県支部長・大本さんに聞く 患者交流 励みに 少ない情報 会員の輪広げたい

パーキンソン病治療の基本は薬物療法。大本さんは症状を抑える2種類の薬のほか、ビタミン剤なども服用する。「副作用が気掛かり」という

 手足の震えなどの症状が現れる国指定の特定疾患(難病)、パーキンソン病。岡山県内の認定患者は昨年度で約1500人と、高齢化などに伴い最近10年で2.3倍に増加。45ある特定疾患のうち最多となっている。今年で結成25年目を迎えた患者団体・全国パーキンソン病友の会岡山県支部長の大本泉さん(75)=岡山市佐山=に、闘病生活や患者が抱える悩みについて聞いた。


 会社役員や岡山県スキー連盟事務局長を務めた大本さんが発病したのは二〇〇二年春。社会の一線を退き自分の時間を楽しむ余裕ができて二年後だった。「歩こうと思うのに足が出ない」というすくみ足の症状が突然出た。好きだったゴルフのプレー中に転倒し負傷をしたのを機に、かかりつけの病院で検査。パーキンソン病と診断された。

 パーキンソン病は脳内の神経伝達物質・ドーパミンが不足するため起こる。「足が悪いのかと思ったら、脳に原因がある病気と分かり、ショックだった」。病気のことも専門の医療機関も分からない。命にかかわるわけではないが、進行性の病気で今のところ根治の方法がないと知って、「先行きの見えない不安が募った」という。

 そんな時に出合ったのが全国パーキンソン病友の会。本で知り連絡したところ、岡山県支部からこの病気に詳しい県内の医師を紹介された。支部の懇親旅行に参加し、「病気と闘っているのが一人ではないのを実感した。他の患者と交流でき励みになった」。

 症状や進行は「十人十色」という。大本さんの場合、代表的な症状である手足の震えはないが、発症から三年余がたち、すくみ足はひどくなり、介助なしで歩くのが次第に難しくなっている。腹筋や背筋のこわばりで姿勢は前傾がちになった。「他の人に比べ、進行は早い」と打ち明ける。今春まで十カ月の入院も経験した。

 ドーパミンを薬で補うのが治療の基本。大本さんも二種類の薬を服用している。「効果が強い薬だけに副作用が気掛かり」。二〇〇二年には、脈拍数が少なくなる徐脈になり、心臓のペースメーカーを埋める手術を受けたが、徐脈は薬の副作用が原因だったという。他の患者によく効いたという薬を服用したところ、腰痛に悩まされ、中止したこともある。

 患者は特定疾患の認定を受ければ、医療費の公費負担を受けられ、自己負担の月額限度額は入院で最大二万三千百円、外来で最大一万千五百五十円。しかし、認定基準は日常生活、通院に介助が必要と厳しく、「認定を受けられない人が認定患者の倍に上る」という。大本さんの知り合いの三十、四十代の若年性の患者の中には、手足の震えなどのために退職を余儀なくされた人もいる。認定を受けられないと、医療費は三割の自己負担分で月数万円にも上る。

 約二百人の会員がいる同会県支部の支部長を二〇〇三年六月から務める大本さん。患者の相談に応じる活動の中で感じているのが、この病気についての情報の少なさという。そのため、二年前から患者や家族向けにフォーラムを開いている。今年も今月十八日に倉敷市で第三回を開く計画で、今準備に大忙し。「薬も次第に進歩している。会員の輪を広げ、孤立しがちな患者へ情報提供に努めたい」と話している。


 全国パーキンソン病友の会岡山県支部の問い合わせ先は086―274―3101。


ズーム

 パーキンソン病 脳の黒質で作られる神経伝達物質のドーパミンが減るために起こる。手足が震える、筋肉がこわばる、動作が鈍くなるなどが主な症状。発症の原因は分かっていない。五十、六十代以降の発病が多く、徐々に進行する。患者は全国で十数万人とみられる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年09月10日 更新)

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