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風疹ワクチン・緊急対策開始 対象年代男性は受診を

風疹ワクチンの接種を呼び掛ける倉敷成人病センター・倉敷成人病クリニックの梅川院長

倉敷成人病センター・倉敷成人病クリニック 梅川康弘院長に聞く

 風疹の抗体検査や予防接種を担当する医療機関の一つである倉敷成人病センター・倉敷成人病クリニック(倉敷市白楽町)の梅川康弘院長に、ワクチン接種の重要性について尋ねた。

     ◇

 ―先天性風疹症候群が怖いと言われるのはなぜでしょうか。

 免疫ができていない胎児が風疹ウイルスに感染すると、生まれながら障害を抱えてしまう。難聴や白内障、心疾患などが起こりやすい。特に妊娠初期はいろいろな障害が重なりやすく、危険とされている。

 母体の抗体がしっかりあれば胎児にうつることはないが、抗体価が下がっていると、母親は発病しなくても、生まれた赤ちゃんが先天性風疹症候群だったという例もまれにあると聞いている。

 ―現在はワクチンを2回接種することになっていますが、1回接種では不十分なのでしょうか。

 昔は1回接種すれば大丈夫と言われていたが、それは患者が散発的に発生していたから。一度抗体ができて、さらにウイルスに接触することでまた抗体価が上がり、効果を持続できていた。今は発病する人がはるかに少なくなり、ウイルスに接触することがなくなった。1回だけの接種では抗体価がだんだん下がり、感染する人がいることが分かってきた。

 ほとんどの高齢者は風疹にかかった経験があり、抗体を持っている。ぽっかり空いているのが追加対策の年代の男性。ワクチンが重要で、みんなが抗体を持てば流行を抑えられる。

 ―国が20年7月までに85%の抗体保有率達成を目指しているのは、どんな意味があるのですか。

 咳(せき)などで飛沫(ひまつ)感染する風疹は、感染者が1人出ると、周囲の人が抗体を持っていなければ6~7人に感染を広げる力があるとされる。インフルエンザと比べても感染力は強い。しかし、85%以上の人が抗体を持てば、地域で大きく流行する事態にはならないと計算できる。「集団免疫」という考え方だ。

 対策では麻疹と風疹の混合ワクチン(MRワクチン)を接種することになっている。麻疹も感染力が非常に強く、成人が感染すると重症化しやすいとされる。麻疹予防も兼ねて、この機会にぜひ接種してほしい。

 対策の対象外となっている年代の人も、抗体検査を受けて十分でないことが分かれば、費用はかかるが、接種を検討することをお勧めしたい。

     ◇

 倉敷成人病センター・倉敷成人病クリニックは毎週水曜日午後に予防接種外来を設け、MRワクチンなどの予防接種を受け付けている。申し込みは予約センター(086―422―2112)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2019年04月02日 更新)

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