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岡山県が受動喫煙対策強化に対応 「敷地内全面禁煙施設」に一本化

飲食店に掲げられた「敷地内全面禁煙施設」の認定ステッカー=岡山市北区駅元町

 岡山県は、受動喫煙対策に取り組む施設を認定する独自の制度で、認定基準を本年度から見直した。今年7月と東京五輪を控えた来春に、対策を強化する改正健康増進法が段階的に施行されることに沿った対応で、「禁煙施設」「分煙施設」の2種類だった認定を「敷地内全面禁煙施設」に一本化。施設によっては敷地の全面禁煙まで求めない改正法よりも高い目標を掲げることで、受動喫煙を防ぐ機運を盛り上げたい考えだ。

 県の新たな認定制度は、多数が利用する施設全般が対象。建物を含む敷地を終日禁煙とし、そのことを見やすい所に表示している▽敷地に灰皿などを置いていない―との条件を満たせば「敷地内全面禁煙」と記したステッカーを交付し施設のPRに役立ててもらう。加熱式たばこや電子たばこも喫煙とみなす。

 2003年度に始めた従来の制度は、敷地全体か屋内での「禁煙実施施設」と「完全分煙実施施設」を認定。本年度からは、最低でも屋内の禁煙を義務付ける改正法に適合するよう見直した。新基準は、受動喫煙で多くの死者が出ているとされる現状を重く受け止め、法と同じでは独自の認定制度の意義が薄れるとの判断も踏まえて決めたという。

 従来制度での認定施設数(昨年9月末現在)は「禁煙」2646カ所(敷地全体1159、屋内1487)、「分煙」89カ所。新制度では5月末現在827カ所あり、従来から敷地を禁煙にし認定を受けていた施設の再申請が大半とみられる。

 今後は、最も受動喫煙の機会が多い場所とされる飲食店での取り組みをいかに促すかが課題という。禁煙施設(敷地全体)として認定されていた1159カ所は「教育関係機関」と「保健・福祉・医療施設」の合計で96%を占め「飲食店等」は8カ所のみだった。

 「女性や高齢者は特に煙を心配される。ステッカーが貼られていれば安心して来店してもらえる」(岡山市内のレストラン)との声もあるが、客足への影響などを懸念する店は依然多いようだ。

 県は、新たな認定制度の周知に努めており「改正法との相乗効果で受動喫煙対策を強めたい」(健康推進課)としている。

 改正健康増進法 昨年7月成立。多くの人が集まる建物内を罰則付きで原則禁煙とする初の法律。今年7月から病院や官公庁、学校といった施設が原則敷地内禁煙に、全面施行の来年4月からは飲食店や事務所、ホテルの客室以外の場所などが原則屋内禁煙になる。資本金が5千万円以下で客席面積100平方メートル以下の既存飲食店は例外とされた。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2019年06月17日 更新)

タグ: 健康肺・気管

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