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出前講座で終末期ケア話し合って 住民や高校生けに岡山県医師会

県医師会が高校生を対象に初めて開いたACP普及啓発のための出前講座=6月、明誠学院高

 岡山県医師会が、終末期にどのような医療やケアを受けたいかを、本人が家族や医師と繰り返し話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」の普及啓発に取り組んでいる。松山正春会長らが昨年9月から各地で住民向けの出前講座を開き、普段から人生の最期についての考え方を周りに伝えておく重要性を訴えている。

 厚生労働省は昨年3月、終末期医療に関する指針を改定し、ACPの考え方を初めて盛り込んだ。個々が自分らしく人生の最期を過ごせる環境づくりを進めるのが狙いで、ACPについては「人生会議」の愛称を付けて普及に努めている。

 県医師会の出前講座はこれに呼応する形でスタート。在宅医療に携わる医師らがACPの意義を紹介するほか、松山会長と講師の医師が、参加者と座談会形式でみとりや終末期医療について意見を交わしている。7月までに津山、新見、岡山市などで9回行った。

 多感な世代にも人間の尊厳について考えてもらおうと、本年度からは主に高校生向けにも開講している。

 6月に初開催した明誠学院高(岡山市)では、1~3年生39人が参加。岡山大病院高度救命救急センターの尾迫貴章講師が、救急現場で生命の維持が困難になった人を巡り、延命治療の継続や臓器提供などの選択肢と向き合う家族の葛藤について話し「本人の意思が一番大切。平素から自分の生き方の思うところを(家族らに)伝えてほしい」と語った。

 聴講した2年生(17)は「家族とは将来のことを話し合っているが、改めて自分の考えをしっかり伝えておこうと思った」と話した。

 県医師会は7月に金光学園中(浅口市)と津山高(津山市)で開講し、年内には倉敷中央高(倉敷市)と共生高(新見市)でも予定している。

 松山会長は「さまざまな年代の人が自身の最期について考え、意思表示ができるようになってほしい。出前講座がそのきっかけになれば」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2019年08月09日 更新)

タグ: 医療・話題

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