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津山中央病院新病棟の本格運用開始 林同輔院長に聞く

血管のエックス線画像などを確認しながら施術できる「ハイブリッド手術室」

内視鏡の手術支援ロボット「ダヴィンチ」の専用手術室。前立腺がんの治療などで活用する

救急専門医や臨床工学技士らを配置した県北初の「スーパーICU」

10月から本格運用が始まった新病棟(津山中央病院提供)

林同輔院長

 一般財団法人津山慈風会(津山市川崎)が運営する津山中央病院(同所)の敷地内に整備していた新病棟が完成し、10月から本格運用が始まった。岡山県北初のスーパーICU(特定集中治療室)や術中にエックス線画像を確認できるハイブリッド手術室などを新たに整備し、医療における“北のとりで”としての機能を向上させた。林同輔院長に新病棟を生かした取り組みなどを聞いた。

 ―新病棟の概要は。

 2020年までに日本に誇れる医療サービス体制の構築を目指した再基盤整備事業「POWER UP5」と題した5カ年計画の一環で、総工費約91億円をかけ整備した。本館の北側に建設した建物は、鉄筋コンクリート5階延べ約1万7200平方メートル。工事は2016年から19年8月まで2期に分けて行った。1期分は心臓血管センターや整形外科病棟などで、昨春から順次使用を始めている。

 ―これまで県北の医療機関にはなかった最新設備がそろっている。

 血管のエックス線画像をリアルタイムに確認しながら施術できる「ハイブリッド手術室」を新たに整備した。1室で約100平方メートルという広さを確保し、心臓手術など高度で複雑な治療を安全性を確保しながら行えるようになる。中でもこれからは高齢化により心不全患者が増えてくると予想される。将来的には大動脈弁狭窄(きょうさく)症に対する「経カテーテル的人工弁留置術(TAVI)」の実施も視野に入れたい。内視鏡の手術支援ロボット「ダヴィンチ」の専用手術室は、近年患者が増えている前立腺がん治療などに威力を発揮するだろう。血管撮影室を増設したのもポイントだ。

 ―救急医療の充実も図っている。

 国は救急業務の円滑化を図るため、軽症患者が対象の1次救急、手術や入院が必要な患者が対象の2次救急、重篤患者を診る3次救急に分け、都道府県がそれぞれ医療機関を指定している。最重度の3次救急に指定されている当院には、県北で唯一となる救命救急センターがある。新病棟には専任の救急専門医や臨床工学技士を常時配置したスーパーICUを12床設け、現在4床を稼働させている。県北の患者にとって津山中央病院は最後のとりで。院内での連携を強化し、救命に全力を尽くしていく。

 ―今後の展望は。

 当院の医師は現在約120人。ぜひ150人程度まで増やし、充実した医療を展開したい。そのためには施設面でも魅力ある病院づくりが不可欠で、最新鋭の医療機器をふんだんに取り入れた新病棟の完成は大きな一歩になる。ただ、整備はこれで終わりではない。患者や地域にとって最良の医療を安心、安全に提供していくためにも、常に改善を図っていく覚悟だ。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2019年10月21日 更新)

タグ: 津山中央病院

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