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依存症「ゲーム障害」どう対処 精神科医療センター宋医師に聞く

「本人が殻に閉じこもらないような働き掛けが大切」と話す宋医師

 ゲームのやり過ぎで日常生活に支障を来す「ゲーム障害」が、世界保健機関(WHO)によって新たな依存症に認定(5月)された。実態把握はまだあまり進んでいないが、依存状態に陥ると抜け出すのは容易でないとされ、世界各地で睡眠障害をはじめとした健康被害も報告されている。ゲーム障害に詳しい岡山県精神科医療センターの宋龍平・非常勤医師に、具体的な症状や対処法を聞いた。

 ―ゲーム障害とは。

 主にインターネットを通じたオンラインゲームに自制できないほどのめり込み、学校や会社に行けなくなるなど日常生活が困難になった状態が続くことを指す。通常は12カ月以上続く場合に当てはまるが、深刻ならより短い期間でも診断が下される。オンラインゲームは生活スタイルの異なる人たちが同時にプレイするため、昼型の人が夜型の人とグループを組めば、どちらかの生活リズムが狂ってしまう。そのままゲームにのめり込めばリズムの狂いは深刻さを増し、さらに解決しにくくなっていく。

 ―性別などが影響する可能性は。子どもたちの依存問題も指摘されている。

 ゲーム障害は一般的に男性の方が多いといわれる。自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)といった発達障害の特性のある人もリスクが高い傾向にあるとされる。親の保護下にある子どもの場合は状態が顕在化しやすい一方、一定年齢を過ぎても引きこもりなどで社会との距離が広がっている場合は外部から見えにくいという側面があり、決して子どもだけに限った問題ではない。

 ―なぜ依存してしまうのか。

 オンラインゲームの多くは明確な終わりがなく、延々とプレイできる特徴がある。ゲームを続けていれば、プレーヤーたちが集まるコミュニティーで目立つ存在になったり、攻略ランキングで上位に入ったりして、さらにやめるタイミングを逃してしまう。こうした状況が続くうち、ゲームの優先度が次第にほかのさまざまな活動を上回るようになり、自分の意志ではやめることができない依存症に至ってしまう。

 ―どう対処すべきか。

 家族がゲームを取り上げたとしても状況が改善するとは限らず、逆に本人との緊張関係が高まるだけというケースが多い。医師ら家族以外の第三者が間に入り、フラットな目線で問題を整理することが望ましい。その際もプレイした時間や、学校や会社に遅刻した回数など、あくまで客観的なデータを示しながら状況が良くなる方向を目指すべきだ。本人が殻に閉じこもらないような働き掛けができるよう、家族を支援する体制も求められる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2019年10月23日 更新)

タグ: 精神疾患

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