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インフル早い流行期入り 12月中旬までにワクチンを

望月靖所長

 今年もインフルエンザの流行期がやってきた。全国では例年より1カ月ほど早い第45週(11月4~10日)、岡山県でも昨年より2週間早い第47週(同18~24日)に患者の報告数が流行開始の目安となる基準値を突破し、県は28日に「注意報」を発令した。今季はどんなタイプのウイルスが流行し、ワクチンの予防接種や、発症した場合にどう対処すればいいのかについて、県環境保健センターに尋ねた。

 今シーズン、沖縄県では例年になく早い9月初旬からインフルエンザがまん延し、全国への拡大が心配されたが、その後は小康状態になっていた。しかし、11月になると九州や関東、広島県などで徐々に増え、定点医療機関あたりの患者数は、全国で第45週に流行開始の目安となる1を超えた。第46週(11月11~17日)は1・84に上昇している。

 岡山県感染症情報センターによると、県内は84の医療機関で患者数を調査しており、47週時点で定点あたり1・15に達した。地域別では、真庭(3・33)や美作(2・60)が先行して流行している。

 近年の県内の報告状況=グラフ=をみると、12月に入る49週頃から1を超えて「注意報」が出されることが多い。1月中旬から下旬には毎年「警報」レベルの30を超え、ピークを迎える。昨季は12月13日に注意報、1月24日に警報が発令された。

 今季検出されているウイルスはA型の一種であるpdm(パンデミック)09が大半。全国では9割近く、県内でも検出した4例は全てこの種だった。2009年に現れて世界的に大流行し、新型インフルエンザと呼ばれたが、現在は他の季節性インフルエンザと同じ扱いになっている。特に幼児や高齢者、基礎疾患のある人は、重症化しないよう、警戒する必要がある。

 厚労省によると、今季のワクチン供給は約2933万本を見込んでいる。昨季に使われた2630万本を上回り、十分な量を確保しているという。早い流行に備え、既に供給の前倒しを関係業界に要請している。

 ワクチンはpdm09を含む計4種類の株で製造され、幅広い流行に対応できる。県環境保健センターの望月靖所長(感染症情報センター長)は「ワクチンで十分な抗体ができるまでに2週間程度かかるとされており、12月中旬までに接種を受けてほしい」と勧める。

 注意しなければならないのは、ウイルスに感染してもごく軽い症状で済んで、本人も周囲も感染に気がつかない場合が少なくないこと。それらの人も、ウイルスをうつさないように対策をとることが望ましい。

 咳(せき)やくしゃみの際に飛び散る飛沫(ひまつ)による感染が最も心配される。望月所長は「咳エチケット」の徹底を呼び掛ける。できるだけマスクを着け、とっさの咳やくしゃみには、ティッシュや服の袖などで口と鼻を覆い、他の人から顔をそらすよう注意したい=イラスト参照
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2019年12月02日 更新)

タグ: 感染症

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