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第3回 倉敷中央病院 がん 負担小さい手術を追求

小笠原敬三副院長

 入院患者が二〇〇六年、延べ六千百七十六人と、最近五年で九割も増えたのががん。同年の手術は胃がん二百十二件、大腸がん二百五件、肺がん百六十三件、前立腺がん八十件に上った。血液のがんに対する骨髄移植など造血幹細胞移植も四十九件実施。「いずれも治療実績は岡山県内のトップクラス」(小笠原敬三副院長)という。

 患者の体への負担が小さい治療に積極的に取り組んでいる。特に肺がんは、胸に直径数センチの穴を開け内視鏡と器具を入れ病巣を切除する 胸腔 ( きょうくう ) 鏡手術を早期患者中心に百十九件執刀。手術全体の七割を超えている。胸を十―二十センチ開く従来の開胸手術に比べ回復は早く、かつて術後二―三週間かかった入院日数は平均七日まで短くなった。

 手術以外でも、内視鏡を口、 肛門 ( こうもん ) から入れ治療する内視鏡治療を胃がんで七十四件、大腸がんは三十九件実施。ただ、胃がん、大腸がんの腹腔鏡手術は「開腹手術に比べ時間がかかり、体への負担が小さくない」(小笠原副院長)として見送っている。

 その後の経過も良好。患者が多い病期の術後五年生存率は、胃がんⅠA期(がんが粘膜下層までにとどまり、リンパ節転移なし)91・8%▽大腸がんⅠ期(がんが粘膜下層、筋層にとどまる)86・9%▽肺がんⅠA期(がんが三センチ以下で転移なし)85・6%―などとなっている。

 治療を支えるのが十三人の画像診断医と十八人の麻酔科医、四人の病理医。放射線治療は二人の医師が行う。術後は在宅で治療を受けられるよう抗がん剤の通院治療室を〇二年開設。痛みや症状の緩和では、がん性 疼痛 ( とうつう ) 看護の認定看護師が入院、通院患者の相談に応じている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年02月05日 更新)

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