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第3回 倉敷中央病院 総合周産期センター 年400人の小さな命救う

NICUで新生児を診る渡部部長

新垣義夫小児科主任部長

 早産や重い病気のある新生児と妊婦に高度な医療を提供する総合周産期母子医療センターに二〇〇〇年、岡山県内で初めて指定された倉敷中央病院。母体・胎児集中治療室(MFICU)六床と新生児集中治療室(NICU)十五床、その後方支援ベッド二十床を備え、年間四百人に上る小さな命を救っている。

 二〇〇六年に治療した新生児は、早産による超低出生体重児(千グラム未満)四十八人▽極低出生体重児(千グラム以上千五百グラム未満)三十人▽先天性心疾患四十八人▽重い呼吸障害の呼吸窮迫症候群三十七人―など。

 近年増えている超低出生体重児は、治療技術の進歩で救命率が九割近くに達している。「今や三百グラム台でも救命できる時代。単に救うだけでなく、将来を見通し、どう助けるかが大切」と新生児専門の渡部晋一・小児科部長。重症仮死児の脳低温療法など先進医療を手掛けるとともに、発達の遅れなどへの長期フォローアップにも力を注ぐ。

 その一つが二、三歳になった子どもを対象に年六回開く「どんぐりの会」。遊びを通し発達を促すとともに、親の不安に医師や看護師が応じる。九歳まで診る専門外来も設けている。

 小児循環器のスタッフも充実。新垣義夫・小児科主任部長らが、新生児期から心臓のカテーテル検査・治療を行う。

 NICUで治療する新生児の半数は他の医療機関からの搬送。さらに、出産直前の「母体搬送」も増えているという。新生児専用の救急車を備え岡山県西部、広島県東部の医療機関などの要請で出動。ベッドが満床で対応できない場合も、〇五年に県内二カ所目の総合周産期母子医療センターを設けた岡山医療センター(岡山市田益)などと連携し「受け入れ先が見つかるまで探し搬送する」(渡部部長)という。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年02月05日 更新)

タグ: 女性子供お産倉敷中央病院

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