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コレステロール値下げる スタチン剤がC型肝炎抑制 岡山大大学院教授ら発見 併用療法で高い効果

加藤宣之教授

池田正徳助教授

 コレステロール値を下げる薬のスタチン剤にC型肝炎ウイルスの抑制効果があることを、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の加藤宣之教授(ウイルス学)と池田正徳助教授(同)らが細胞実験で突き止めた。治療薬のインターフェロンとともに使うと、現在主流の併用療法を上回る効果があることも分かり、カナダで二日に開幕する国際会議で報告する。

 C型肝炎治療は、インターフェロンと抗ウイルス薬リバビリンの併用療法が主流だが、リバビリンには貧血などの副作用があり、高齢者を中心に治療を受けられない患者も多い。

 加藤教授らは薬の抑制効果を確かめるため、C型肝炎ウイルスゲノム(全遺伝情報)を効率よく増やす細胞を開発。ウイルスが減ると発光量が減る遺伝子を同ゲノムに組み込み、五種類のスタチン剤を別々の細胞に投与、効果を比較した。

 フルバスタチン、アトロバスタチン、シンバスタチン、ローバスタチンの計四種類でウイルスの増殖を抑えることが確認できた。このうちフルバスタチンが、ウイルスの半減を最も低い濃度で達成でき、効果の高いことが分かった。ローバスタチン以外は国内承認薬。

 さらに、フルバスタチンをインターフェロンと併用し、人体投与可能な濃度で細胞に加えると、ウイルスを90%以上抑制できた。リバビリンとの併用でこの効果を得ようとすると、人体に悪影響が出る高い濃度にしなければならないという。

 加藤教授らは「スタチン剤を使えば併用療法の適応が広がる可能性がある。他の薬剤についても調べ、新治療薬発見につなげたい」としている。


新治療薬に期待

 宮村達男・厚生労働省C型肝炎研究班長の話 すでに使われている国内承認薬に抑制効果があった点がポイント。国内二百万人とも推定される感染者の治療と発症予防は緊急課題だが、新治療薬として現実味があり大いに期待できる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年10月02日 更新)

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