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第9回 岡山赤十字病院 救命救急センター 24時間態勢で命守る 小児科に地元医師協力

運び込まれた患者の治療に当たる救命救急センタースタッフ

實金健副センター長

楢原幸二小児科部長

 救急車のサイレンが静けさをうち破った。到着と同時に救急隊員が、肺炎の疑いがある患者をストレッチャーからベッドに移す。「ここがどこか分かりますか」。医師はすぐに意識を確認。取り付けられた心電図モニターからは甲高い電子音が鳴り響き、別の医師は足の付け根から検査のため手際良く採血を始めた。「もう一人、消化器疾患の患者が運ばれます」と告げる看護師。フロアは一気に慌ただしさを増した。

 救命救急センターは、昼夜を問わず二十四時間態勢で命を見つめる。発熱や腹痛から薬物中毒や全身やけど、全身打撲といった重症者まで、あらゆる症状に対応。患者は岡山、玉野、備前市など岡山県南東部が中心で、二〇〇六年度は計約四万四千人に達した。

 内科や外科、整形外科などをそれぞれ専門とする医師十人を配置。全身を診察した上で高度な治療が必要だと判断した場合は、専門の診療科と連携して対応する。特に集中治療室(ICU)とは密接な関係を築いている。

 「重症患者の命を救うには、初期段階の治療だけでなく、その後の容体管理も欠かせない」。實金健・副センター長は解説する。

 小児科の夜間救急を支えよう―。地元診療所の小児科医たちが〇六年五月から、応援に駆けつけているのもセンターの特徴という。

 現在十三人が参加。毎週木曜日の午後八時から三時間、急な発熱やおう吐、下痢を訴えて駆け込む子どもたちを診る。その間、病院側の小児科医はより症状が重い患者や入院患者の治療に専念する。役割分担することで小児医療の質を高めようという狙いだ。

 楢原幸二小児科部長は「病院と診療所が連携して小児の夜間救急を支える取り組み。協力してくれる医師が増えてくれれば心強い」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年03月25日 更新)

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