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第10回 岡山市立市民病院 脳疾患センター 診療科の枠超え取り組み 積極的に救急患者受け入れ

脳動脈瘤頸部クリッピング術をする脳神経外科の医師(岡山市立市民病院提供)

中嶋裕之脳疾患センター長

 昨年九月に設置された脳疾患センターは、脳神経外科や内科、神経内科など各科の医師や看護師、理学療法士らが連携し、患者にとって最適な医療の提供を目指している。

 中嶋裕之センター長は「診療科の枠を超えた取り組みを進めるのが最大の狙い。リハビリテーション科との連携も密になっている」と手応えを話す。

 中心的な役割を果たすのは脳神経外科だ。積極的な救急患者の受け入れにより、二〇〇七年の入院患者は七百三十五人、手術件数は二百三十五件に上る。

 このうち、破裂した脳動脈 瘤 ( りゅう ) の根元を金属製のクリップで挟み血流を遮る「脳動脈瘤 頸部 ( けいぶ ) クリッピング術」は年間五十件前後を実施。脳 腫瘍 ( しゅよう ) を合わせた手術件数は同八十―百件で、中四国の病院では常に上位に入る。

 脳卒中や頭部外傷などの急性期治療も積極的に手掛ける。〇七年には脳 梗塞 ( こうそく ) 患者二百七十人に対し、十九人に血栓溶解剤「tPA」を投与。慢性期患者には、頸動脈の壁に沈着したアテロームと呼ばれるかゆ状の物質や血栓を除去する「頸動脈内膜 剥離 ( はくり ) 術」も行っている。

 設備面ではここ数年、最新鋭のMRI(磁気共鳴画像装置)やCT(コンピューター断層撮影)などを積極的に導入。地域密着型の救急医療機関として、緊急検査・手術が二十四時間いつでも行える体制を備えている。

 中嶋センター長は「これまで通り救急患者を積極的に受け入れることでセンターの底上げを図り、患者さんに分かりやすい医療の提供や、QOL(生活の質)の向上につなげたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年04月01日 更新)

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