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岡山市 心電図速報システム導入へ 急性心筋梗塞患者の救急搬送

 岡山市消防局は2020年度、急性心筋梗塞が疑われる患者の救急搬送で、救急隊員が現場でとった心電図をインターネット経由で医師に速報するシステムを導入する。病院到着後に検査する手間を省き、速やかな治療で救命率アップを図る。17日発表した20年度一般会計当初予算案に関連経費1100万円を盛り込んだ。

 市消防局によると、急性心筋梗塞は心臓表面の冠動脈が血栓で詰まるなどして起こる。心筋細胞に酸素や栄養が届かなくなって壊死(えし)が始まるため、早急に治療する必要がある。

 現在の救急搬送は救急隊員が現場でモニター心電図を使用。患者の胸周辺3カ所に電極を付けて心臓の動きを確認し、搬送先の病院に口頭で伝えている。病院側は患者の到着後に改めて詳細な心電図検査と診断をして治療に入る。

 新システムでは、救急隊員が胸周辺10カ所に電極を付けてより詳しく心臓の状態を調べられる「12誘導心電計」を活用し、タブレット端末で検査結果データを送る。このため病院側は患者到着後に速やかに治療・手術に移れるという。

 市消防局は、今夏をめどに全20救急隊で運用をスタートする方針。昨年6~8月の4救急隊による試験運用では、出動66件のうち2件で治療に入る時間を縮められた。心臓の病気が疑われる場合のみに使うため頻度は限られるが、市消防局は年50件程度で治療が迅速化できるとみている。

 市消防局救急課は「早期治療で救命率アップだけでなく、後遺症の軽減にもつながる。訓練を徹底して導入効果を高めたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2020年02月18日 更新)

タグ: 急性心筋梗塞

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