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女性医師支援通しWLB推進探る 倉敷医師会 負担軽減策や課題報告

女性医師への支援策や医療現場の負担軽減をテーマにした倉敷医師会の会合

 医師不足、さらには働き方改革の波を受けて、仕事と生活の調和を図るワークライフバランス(WLB)の推進が、医療機関のキーワードとなっている。出産、育児により復職の壁にぶつかりやすい女性医師に対する支援を通して、働きやすい職場環境を探ろうと、倉敷医師会主催の会合で事例や課題が報告された。

 「安定した診療体制の継続と、患者の理解促進が大切」。倉敷中央病院の西川真那・腎臓内科医長が、医療現場の労働環境改善の要点を述べた。

 1歳半の娘を育てる西川さんは復職後、週4日の時短勤務を選択しつつ、土曜勤務で人員が少ない時間帯をカバーしている。報告では、院内保育所の設置といったハード面のほか、時短制度や当直免除▽働き方に関する問題を気軽に話し合うWLBカフェ▽女性医師支援をテーマにした講演会開催―など、同病院の取り組みについて語った。

 さらに「女性医師に特有の問題を支援しつつ、男女を問わないニーズに対応する」ため、土曜外来の中止やチーム制の導入、当直明け業務の軽減といったWLB推進策も紹介。チーム制の導入例では、主治医が担当している患者の「みとり」を、患者側の了承などの条件付きで当直医が引き受け、急な呼び出しなどの負担を減らしているとした。

 今後の課題として、女性管理職が少なく、働き方のロールモデル(手本)が見つけにくい点や、全職員のWLBの底上げを挙げた。

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の片岡仁美教授も、同大での女性医師支援策などを披露した。「患者の安全を第一にすれば、それを支える医療人の環境も考えなければならない」とした上で「職場やチームに時短労働の当事者がいれば、柔軟な働き方への理解も進む。小さな変化が、組織文化の変化につながる」と説いた。

 講演会は、倉敷医師会の「第3回倉敷女性医師の会」として5日に倉敷市内で開催。医療関係者ら約40人が参加した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2020年02月26日 更新)

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