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新型コロナ 高齢者ら守る意識を 津山中央病院 藤田医師に聞く

「重症化リスクの高い高齢者らを守る意識が重要」と指摘する藤田医師

 世界保健機関(WHO)から「パンデミック(世界的大流行)」の認定を受けた新型コロナウイルス感染症。患者の多くは軽症で済む一方、基礎疾患のある高齢者の死亡率が高いことが分かってきた。津山中央病院(津山市)総合内科・感染症内科医長の藤田浩二医師は「高齢者らリスクの高い層を守ろうという意識を持ち、健康管理や感染対策に取り組むことが重要だ」と指摘する。

 ―これまでに判明した新型コロナウイルス感染症の特徴は。

 中国での4万4千人余りの確定症例によると、患者の8割は軽い風邪症状で、残る2割が肺炎になっていた。患者のうち80歳以上は全体の3・2%にとどまるものの、死亡率は全世代の平均が2・3%なのに対し、14・8%と圧倒的に高い。半面、10歳未満は1人も亡くなっていない。

 ―風邪の症状が出ただけで、感染を疑い不安を感じる人もいる。

 風邪はのどの痛みとせき、鼻水・鼻づまりが三大症状で、そこに熱や頭痛、体のだるさといった周辺症状が伴うことがある。一般的には症状が始まって3~4日目にピークを迎え、その後必ず自然に治癒する。新型コロナウイルス感染症も軽症例は風邪と同じ経過をたどるが、悪化するケースでは1週間を超えたころから急に息切れが強くなり、入院治療が必要となる。

 ―治療は通常の肺炎とどう違うのか。

 肺炎には主にウイルス性と細菌性があり、ウイルス性の肺炎全般に言えることだが、細菌性と違って抗生物質は効かない。新型コロナウイルス感染症が原因であっても症状は他の肺炎と同じで、治療は点滴による水と電解質の補給、酸素の投与といった対症療法が中心となる。

 ―そうした特性を踏まえ、感染対策にはどのような視点が必要か。

 中国のデータを見る限り、肺や心臓などに基礎疾患のある高齢者が特に死亡率が高く、リスクの高いこの層を守ろうという意識を持ってほしい。最も重要なのは、せきエチケットと手洗いで、家族ぐるみで徹底的に取り組むことが、リスクの高い人を守ることにつながる。

 ―インターネットなどではデマや誤情報が拡散している。

 例えば、新型コロナウイルス感染症に効果があるという食品などの情報も散見されるが、現状では何ら根拠はない。不正確な情報による不安や恐怖が増幅すれば、社会や経済に摩擦や混乱、偏見を引き起こしかねない。正確な情報に基づき、正しい緊張感を持って冷静に行動することが求められる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2020年03月15日 更新)

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