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 「人工筋肉」試験に成功 岡山産学官グループ  補助器具 実用化急ぐ

手すりを使いながら立ち上がることに成功した運動補助器具の実証試験

 足が不自由な人向けにゴム製の「人工筋肉」を活用した運動補助器具の開発を進める岡山大大学院などの産学官連携グループが、器具を使って立ち上がる実証試験に成功した。軽量化や使いやすさなど改善を図り、実用化を急ぐ。

 グループを構成するのは、同大学院自然科学研究科の則次俊郎教授(ロボット工学)と橋本義肢製作(岡山市浦安西町)、岡山県工業技術センター(同市芳賀)など約十五社・機関。二〇〇三年に研究に着手、昨年に入り旭川荘療育センター療育園(同市祇園地先)で二十数回にわたり実証試験を重ねた。

 器具は圧縮空気で伸縮する人工筋肉十四本を使用。ケーブルでつながれたコンプレッサーから空気を送り込み、立ち上がったり腰を下ろす動きをコンピューター制御で補助する。

 人工筋肉は一本当たり最大五十キロの重量を持ち上げる力を持ち、成人の利用も可能。柔軟な素材のため安全性も高い。

 実証試験では、同療育センターに通う男女二人が試験装着。いずれも手すりで体のバランスを保ちながらいすから立ち上がったり、ゆっくりと座ることに成功した。

 交通事故で胸から下がまひし、車いすで生活する赤磐市立吉井中三年竹内大介君(15)は「立つことができてうれしい。学校や家で使えたらいい」と喜び、同療育園の那須巧医師(43)も「リハビリや床ずれ防止、介助者の負担軽減につながりそうだ」と話す。

 現段階では重量が約十キロあり、慣れないと着脱にも時間を要するため、金属部分の軽量化を図るなど実用化に向けた研究をさらに続ける。一台五十万円程度になることから、コストダウンも課題となる。

 則次教授は「衣服のように手軽に装着できる器具が目標。障害者が快適に暮らせる助けになるよう、さらに開発を進めたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年01月27日 更新)

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