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アドテック プラズマ利用し医療機器 ローツェと共同開発 細菌による皮膚炎治療

アドテックプラズマテクノロジーがローツェと共同で開発した医療機器

 プラズマ用高周波電源装置など製造のアドテックプラズマテクノロジー(福山市引野町)は、半導体搬送装置メーカーのローツェ(広島県神辺町)と共同で、細菌による皮膚炎を治療する医療機器を開発した。既にドイツの医療機関で臨床試験を実施しており、二〇〇七年の実用化を目指す。

 開発した医療機器は、ガス化した四〇度前後のプラズマを患部から二、三センチの距離から照射、皮膚の細菌を殺菌、滅菌する装置。高さは一・七メートル、幅一・四メートル、奥行き一・八メートル。アドテックによると「低温プラズマを利用した医療機器の開発は世界的にも珍しい」という。

 広島県東部の両社が保有する得意技術を生かした製品開発を狙いに、アドテックの呼び掛けで今春から共同研究を始めた。大気中で低温のプラズマを発生させるアドテックの技術に、ローツェのロボットアーム技術などを組み合わせた。

 臨床試験は、アドテックと昨年四月から共同研究を進めているミュンヘン市のマックス・プランク研究所を通じ、同市内の医科大付属病院で行っている。早ければ、〇七年にもドイツで認可されるという。欧州での販売実績を積んだ後、日本での販売を目指す。

 アドテックの主力製品は半導体、液晶メーカーが製造工程で電子部品の表面処理などに使うプラズマ用高周波電源装置。需要は堅調に推移しているが、アドテックは「〇八年の北京五輪まではデジタル家電向けなどの需要増が見込まれるが、それ以後は一段落する」と予測。このため同社は、プラズマ技術を活用して地球温暖化に影響するフロンガスを無害化する機器を開発するなど医療・環境分野に参入。経営の多角化を図っている。

 藤井修逸社長は「五年後には医療分野で八億五千万円を売り上げ、事業の新しい柱に育てたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年11月09日 更新)

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