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胃のNO濃度測定に初成功 川崎医療短大教授ら  特殊センサー応用 がん早期診断へ貢献

後藤真己教授

藤村宜憲内科部長

 川崎医療短大(倉敷市松島)の後藤真己教授=臨床工学=と川崎病院(岡山市中山下)の藤村宜憲内科部長の研究グループが、一昨年開発した血管内の微量なNO(一酸化窒素)濃度を測ることができる特殊なカテーテル型センサーを使い、胃内部のNO濃度を測ることに成功した。胃がんの発生に胃のNOなどが大きく関係していることは知られているが、これまで計測することはできなかった。

 後藤教授らは二〇〇三年、心筋梗塞(こうそく)や狭心症につながる血管疾患の早期診断に役立てるため、血管の拡張作用を持つNOの濃度を血管内で測ることができるセンサーを開発した。

 これまで、人のがん組織にはNO合成酵素(NOS)が含まれ、胃の中にあるNOとその関連物質が発がん物質の生成に関係し、ピロリ菌がそれを助長することも分かっていたため、センサーを応用した。

 後藤教授らは十月下旬、胃の内部を診断する電子内視鏡(直径約一センチ)の内部にNOセンサー(長さ一センチ、直径〇・七ミリ)を組み込み、人の口から内視鏡を胃・十二指腸まで入れた際、各部位でのNO濃度の変化をリアルタイムにとらえることができた。胃のNO濃度測定は世界で初めてという。

 後藤教授と藤村部長は「胃内部のNOの状態は、発がんのプロセスと関係しており、センサーを応用することで今後胃がん発生のメカニズムと早期診断、予防などに貢献できる」としている。

 一般的には胃の組織片を採取、観察することでがん発生の可能性が診断されている。


重要な技術開発

 熊本大大学院医学薬学研究部の赤池孝章教授(微生物学)の話 消化器のNO濃度を調べることはがんの病態解明につながり、臨床面での診断で重要な技術開発と思われる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年11月14日 更新)

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