文字 

過疎悩む真庭市 相次ぎ少子化対策 医療無料拡大や不妊治療補助 効果に注目

真庭市民から子育て支援を求める声が相次いだ「杜の公聴会」=14日、落合公民館

 過疎に悩む真庭市が、人口減少に歯止めをかけようと、少子化対策を次々に打ち出している。山間部が多く、八百二十八平方キロという県内最大の市域に対して人口は七番目の約五万四千人。今後、一層の人口減が予想される中、乳幼児医療費無料化の対象拡大や不妊治療費の補助、幼児教育センター建設など施策の効果が注目されている。

 「人口増は市の最大の課題だ」。十四日、落合公民館(真庭市落合垂水)で開かれた市民との懇談会「杜(もり)の公聴会」で井手紘一郎市長は少子化対策の重要性を強調した。市内の中学校卒業生が八年後は四百二十人(今年五百六十三人)、人口も十年後に四万七千人に減少することなどが報告され、市民からは「人でにぎわう魅力的なまちづくりを」「安心して子育てできる環境整備を」といった要望が相次いだ。

 真庭市は十月から、乳幼児医療費無料化の対象年齢をそれまでの小学校就学前までから、一気に中学校就学前までに拡大した。対象者(四月一日現在)は三千五人から二千七百八十七人も増加した。

 九月定例会では、不妊治療費の一部助成も決めた。体外受精など医療保険の対象外となっている治療は一回三十万~四十万円程度かかる上、妊娠まで治療を重ねる。経済的な負担をサポートする独自の助成制度として、真庭市を構成する旧九町村に二年以上在住し、結婚後二年以上経過して子どものいない夫婦を対象に、年度額十万円を上限に支給する。

 ほかにも、市内の男女の出会いを促すため、ボランティアや企業から「まにわ縁結び応援団」を募集したり、幼稚園、保育園を統合し、零歳児保育など保護者のニーズに対応した「幼児教育センター」の落合地区への建設を決めるなど支援策を打ち出している。

 「乳幼児医療費助成をはじめ、子育ての経済的な支援は本当に心強い」。幼稚園PTA代表として「杜の公聴会」に参加した大西千恵美さん(37)=真庭市落合垂水=は、三人の子どもを持つ母親の立場から市の取り組みを歓迎する。

 井手市長は「少子化や過疎を一気に解消するのは不可能だが、できることから施策を積み重ね、結婚から出産、子育てまで安心してできる機運をつくることが、将来に明るい展望をもたらすはず」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年11月17日 更新)

タグ: 健康子供医療・話題

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ