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第23回 岡山県精神科医療センター 依存症治療 専門の「ユニット」整備

自身の歩みや家族との関係などを振り返ってもらう内観療法を行う河本医師

 アルコールや薬物、ギャンブルなどの依存症は、統合失調症をはじめとした他の精神疾患とは治療内容が異なる。このため、昨年四月から外来、入院ともエリアを分け、専門の「依存症ユニット」として環境を整えた。

 依存症の八割を占めるのがアルコール。入院治療では八週間のプログラムをつくり、自身の歩みや家族との関係などを振り返る内観療法、認知行動療法、断酒会への参加を行う。

 「依存症は意思の弱さの問題ととらえられて、病院に来るのはかなり進行してからが多い」。河本泰信医師はこう指摘する。センターの退院者で断酒が半年以上継続している人は四割だが、早期に受診すればもっと高くなるという。

 現在、脳の飲酒欲求を抑えるとされる新薬が国内で治験中。効果は欧米で報告されており、医療現場に導入されれば治療への弾みが期待される。

 ギャンブル依存症は、倉敷市で昨年、当事者による定期的なミーティングを開始。薬物依存症も経験者らが運営する「ダルク」と呼ばれる施設が全国で整備が進んでいる。岡山県にはまだないが、鳥取県に最近できた。

 薬物、ギャンブルとも入院でいったん絶っても、退院後に戻るケースも多い。河本医師は「社会生活の中で仲間とともにやめていく過程が必要」と話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年07月22日 更新)

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