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伏見製薬所 希少糖試薬を販売 医薬品向けに高純度

伏見製薬所が販売を始める希少糖の試薬

 医薬・化学品メーカーの伏見製薬所(丸亀市中津町)は二十一日、自然界に微量しか存在しない「希少糖」の大量生産技術をもとに、医薬品向けなどの高純度の試薬を販売すると発表した。香川県や香川大などと産学官共同で進めている希少糖プロジェクトの事業化第一号。国内外の研究機関や企業に供給し、用途拡大を目指す。

 香川大希少糖研究センターの何森(いずもり)健センター長が酵素反応により世界で初めて開発したブドウ糖を希少糖に変える技術を用い、「D―プシコース」など三種を生産する。

 D―プシコースは別の製造方式による海外メーカー製の試薬があるが純度が低い上、少量しか生産できず一グラム七万円と高価。伏見製薬所の三種類はいずれも純度98%と高く、大量生産により海外製の五分の一程度の価格に抑えられる。

 D―プシコースは、がんや糖尿病などの治療薬、肥満防止効果のある機能性食品の開発などへの利用が期待されている。同社港町工場(丸亀市港町)にD―プシコースを年間四百~五百キロ生産できる設備を導入。十一月三十日から販売する。

 希少糖プロジェクトは二〇〇二年度から、文部科学省の支援を受けて推進。県と香川大、かがわ産業支援財団と、伏見製薬所、林原生物化学研究所(岡山市)など十一社が参加している。

ズーム

 希少糖 自然界に多量に存在するブドウ糖などに対し、わずかしか存在しない単糖(糖の最小単位)で、約50種類ある。生理活性機能があるとされるが、量が少ないため、ごく最近まで研究はほとんど進んでいなかった。香川県では産学官連携により組織的な研究を展開。2001年に設立された国際希少糖学会の本部も香川大にある。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年11月22日 更新)

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