文字 

水際対策を続ける県内の総合病院 来院者全員の検温や動線分離

岡山大病院の入り口に設置された仮設テント。体温が37.5度以上の来院者に看護師が問診などを行う

玄関前で非接触型の体温計を使って検温するスタッフ(右)=岡山労災病院

 新型コロナウイルス感染拡大の第2波に対する警戒が続く中、岡山県内の総合病院は院内感染を防ぐため、ウイルス侵入を阻止する水際対策を続けている。来院者全員の検温を行い、発熱者と一般患者の動線を完全に分けるなど、過去の感染対策を上回る態勢を取っている。

 「ここでお熱を測らせてください」。今月上旬、岡山大病院(岡山市北区鹿田町)の入り口前では、すべての来院者を職員が呼び止め、非接触型の体温計で検温していた。

 外来者の体温が37・5度以上だと、入り口手前に新たに設置した仮設テントに案内し、看護師が問診し熱を測る。発熱や感染の疑いがあれば、隔離された院内の待機スペースに徒歩か公用車で移動してもらい、医師の問診後、必要に応じて感染症対策チームのスタッフが対応する。

 同病院によると、1日3千人近い来院者全員を対象にした検温は過去に例がなく、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)、09年の新型インフルエンザ以上の厳格な対応という。4月下旬から始め、当面継続する方針が決まっている。

 岡山労災病院(同市南区築港緑町)は今回、一般診療スペースとは別に発熱者専用の診察室を設けた。建物の外からアクセスでき、玄関前の検温で37・5度以上の場合に案内する。医師がガウンやゴーグルを身に着け、症状に応じて肺のCT(コンピューター断層撮影)などを行う。

 検温に加え、来院者全員に問診票を配っているのが真庭市西原の金田病院だ。新型インフルエンザの時は窓口で体調を尋ねていたが、今回は過去2週間の行動や健康状態を記入、提出してもらっている。「救急患者も受け入れる病院で院内感染が起きれば、地域医療は崩壊する」と金田道弘理事長は言う。

 倉敷成人病センター(倉敷市白楽町)でも検温と問診で発熱者を選別。来院時に患者が熱を自覚している場合は、駐車場に止めた自家用車から電話してもらう。

 県病院協会の難波義夫会長は「検温作業など医療機関の負担は増す一方だが、ウイルスの侵入をいち早く察知し迅速に対処していくしかない」と話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2020年06月10日 更新)

ページトップへ

ページトップへ