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06年の医療制度改革 佐能量雄・日本法人協岡山県支部長に聞く  削減の財政論先行は問題 生活習慣病予防 適正化計画に意義

医療制度改革の問題点を説明する佐能支部長

 来年の医療制度改革に向けて十月、厚生労働省が試案を発表、高齢者の患者負担増などが論議を呼んでいる。二年ごとに見直される診療報酬改定も来年度に控える中、第二十回全国医療法人経営セミナーが二十六日、岡山市駅元町の岡山コンベンションセンターで開かれる。患者にとって医療制度、そして病院はどうあるべきか。日本医療法人協会とともにセミナーを主催する同協会岡山県支部の佐能量雄支部長(光生病院理事長)に聞いた。

 ―厚労省の試案をどう思うか。現行制度のままでは二〇二五年度、現在の約二倍の五十六兆円に膨れ上がる見通しの医療給付費を、四十九兆円に抑制するとしている。

 「高齢者が病院などに支払う窓口の負担増、長期入院中の居住費や食費の自己負担化など、患者や医療機関にとって大きな問題を含んでいる。医療費削減の財政論が先行しているが、国内総生産(GDP)比の医療費では、日本は先進国で最低レベル。高齢化や医療技術が進展する中で医療費が伸びたが、高度で安定した医療サービスを提供してきた側面がある。それを米国方式の資本主義の論理で、削減を進めることには疑問が残る。現に米国では、高い保険料を払えない無保険者が続出している」

 ―患者にとっては、どんな点が憂慮されるか。

 「患者が自己負担増に伴って受診を手控え、重大な病気が見過ごされることが心配。微熱の患者が白血病であるケースもある。安心して質の高い医療を受けられる体制は守らなければならない」

 ―評価すべき点は。

 「都道府県が糖尿病など生活習慣病患者の減少、入院日数の短縮などの数値目標を盛り込んだ『医療費適正化計画』(五年間)を新たに作成することは、有意義な取り組み。生活習慣病予防は、心臓病や脳卒中などの防止にもつながる。しかし目標が未達成の場合、地域住民や医療機関に不利益な取り扱いをすることが示唆され、問題をはらんでいる」

 ―全国医療法人経営セミナーはどんなことをするのか。

 「医療をめぐる諸問題を考え、これからの病院の在り方を探るのが狙いで、毎年開催している。今回は厚労省の担当課長が医療法人制度改革、診療報酬改定について講演するほか、先進的な取り組みをしている病院理事長らによるシンポジウム『変革期の病院経営再生の現状とあるべき対応』などがある。全国の医療法人理事長ら約三百五十人が参加予定」

 ―今後の抱負を。

 「世界に誇る長寿大国とそれを支えた国民皆保険、平等な医療を守ることが重要。患者本位の視点で、より良い医療の発展に寄与していきたい」
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年11月25日 更新)

タグ: 健康医療・話題

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