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(2)岡山県地域枠

地域枠卒業医師を囲んで。(左から)森元裕貴医師、内藤修子医師、阿曽沼裕彦副院長

内視鏡検査に取り組む内藤修子医師

森元裕貴医師

内藤修子医師

笠岡第一病院 肝臓内科医長 森元裕貴(指導医)

 都市部から離れた地域の医療機関では、診療に携わる医師の不足が問題となります。わが笠岡第一病院でも医師やコ・メディカルスタッフが足りず、どの部署もギリギリのマンパワーです。そんな医師不足の解決策の一つとして、「岡山県地域枠医師による地域医療」があります。ここ岡山県では、岡山大学や広島大学の「地域枠」を卒業した医師に、決められた期間を医師不足地域で働いてもらう仕組みが作られています。

 もちろん医師不足地域で働くということは、病院の“戦力”になるだけの能力が必要になります。地域枠医師は、2年にわたるさまざまな診療科での初期研修を終えた後、地域医療に携わります。また、地域枠医師が未来に向けてステップアップできるよう、大きな病院での研修期間も設けられています。医師不足地域で地域のニーズに合った医療を学びつつ提供しながら、将来進みたい分野の専門的な知識・検査・実技も学び、その専門的な経験はリアルタイムに地域医療へ還元されます。

 当院でも、昨年4月に1人の地域枠医師が来てくれました。着任当初からやる気と知識にあふれた、まさに“「即」戦力”の医師です! 内科を中心に、外来・入院・救急問わず最前線で患者さんの診療にあたっています。加えて週に1度は基幹病院で消化器内視鏡を行い、その経験を当院での内視鏡診療で存分に発揮しています。

 医師不足は簡単に解決できる問題ではありませんが、地域枠医師は地域医療にとって大きな力となっています。地域に貢献しながら夢描く未来へ向かって切磋琢磨(せっさたくま)する、地域を照らす若き“光”。今日も当院で、そして各地で、地域枠医師が頑張っています。

 もりもと・ゆうき 日本医科大学医学部卒、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器・肝臓内科学修了。2016年より笠岡第一病院に勤務。岡山大学消化器・肝臓内科学臨床協力医。

笠岡第一病院 地域枠卒業医師 内藤修子

 岡山大学地域枠卒業医師として笠岡第一病院に赴任し、気付けばはや1年がたちました。日常診療では消化器内科領域を主として内科全般の外来診療・救急対応をする傍ら、内視鏡検査にも携わっています。疾患や重症度、併存症によっては笠岡の地域だけで治療を完遂できない場合もあるため、主に倉敷や福山の高次医療機関に紹介させていただくことも多く、地域医療はさまざまな連携・支援の上で成り立っていることを痛感しています。

 笠岡に赴任して、消化器がんで闘病しながら「これまで暮らしてきたこの笠岡の地で最期を迎えたい」という患者さんへの緩和医療に携わる機会が増えました。専攻医として消化器がんの「治療」について学び、実践している最中ではありますが、緩和医療を通して、患者さん・ご家族・医療チームメンバーそれぞれの価値観のbetterの最大公約数を満たすような「ケア」を行う大切さを実感し、模索しながら、日々研修に励んでいます。

     ◇

 笠岡第一病院(0865―67―0211)

 ないとう・しゅうこ 岡山操山高校、岡山大学医学部医学科卒。岡山大学病院、福山市民病院などを経て、2019年より岡山県地域枠卒業医師として笠岡第一病院内科勤務。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2020年07月07日 更新)

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