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第35回 児島中央病院 脳卒中治療に力 手掌多汗症手術 県内トップ級の実績

脳卒中患者の病状を看護師に説明する木村副院長

 児島中央病院(倉敷市児島小川町)は外来患者が年間延べ十万六千人に上る児島地区の中核医療機関。特に、高齢者に多い脳卒中治療に力を注ぐ。また、緊張などから手のひらに多量の汗をかく 手掌 ( しゅしょう ) 多汗症手術は岡山県内トップクラスの実績を誇っている。

 「脳卒中治療は時間との勝負。発症後、始めるのが遅れるほど、亡くなったり重い後遺症が出る恐れが高い」と脳神経外科の木村知一郎副院長。同病院は専門治療が可能な日本脳卒中学会の研修教育病院に認定され、住民に心強い存在だ。

 脳卒中患者の受診は年二百人前後。七割弱は脳の血管が詰まる脳 梗塞 ( こうそく ) 。点滴、内服の投薬のほか、心臓から脳に通じる首の動脈の狭くなった部分を広げる手術や、高気圧のカプセルに入り多くの酸素を取り入れ回復を促す高気圧酸素療法も行う。

 脳の血管が破れる脳出血、くも膜下出血は開頭し出血を止める手術などを行う。症状安定後は早期にリハビリを始める。

 「自分の医師としての力量を見極め、手に負えぬ時は最適な施設を紹介する」と木村副院長。カテーテルによる血管内治療で知られる衣笠和孜・岡山療護センター長らと日ごろ症例検討を重ね、児島中央病院に招き治療を頼むこともある。

 一方、手掌多汗症手術は最近五年で約百八十例実施。関東や九州からも受診する。湿る程度の汗は薬で抑えるが、水滴が見た目に分かる重症患者には手術を勧める。

 手術はわきの下に直径五ミリの穴を二つ開け、先端にカメラがついた 胸腔 ( きょうくう ) 鏡と手術器具を挿入。内部を画面で見ながら、発汗を命じる交感神経を切る。約一時間かかるが、体の負担は軽く、日帰りか一泊二日の入院で済む。

 「手のひらの汗はほぼ百パーセント止まる」と執刀する田辺秀幸院長。患者は十―三十代の若者に多い。試験の際に紙がぬれ答えを書けない、人と握手するのをためらうなど悩みは深い。「術後は背中などの代償性発汗の合併症を伴うが、患者は性格まで前向きになり、精神的効果も大きい」と語っている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年11月25日 更新)

タグ: 脳・神経脳卒中皮膚

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