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世界基準の病院目指したい 岡山旭東病院(岡山市中区倉田)吉岡純二院長

吉岡純二院長

岡山旭東病院の経営指針発表会。全職員の意見を集約し、練り上げた1年の指針を公表。日々の職務に反映させる

 ―4月に院長に就任されました。抱負を聞かせてください。

 前任の土井章弘先生が院長になった1988年、私も声をかけられ、その年から脳・神経・運動器の総合的専門病院をつくろうと一緒にやってきました。

 当院には四つの経営理念があり、最初に掲げているのが「安心して、生命をゆだねられる病院」です。そのために病院機能の向上に努め、実績も残してきました。一方で、2011年には地域医療支援病院に、19年には公益財団法人になり、より高い公共性が求められるようになりました。地域の住民や医療・福祉施設のお役に立て、信頼が得られるように、一層励んでいきたいと思います。

 ―病院の特徴を教えてください。

 一番の特徴は脳・神経・運動器疾患に特化した病院であることでしょう。サイバーナイフ(定位放射線治療装置)や画像診断装置のPET―CT、3テスラMRIなど高度医療機器を備え、脳内出血やくも膜下出血などの脳血管障害や脳・脊髄腫瘍、頭部外傷、顔面けいれんや三叉(さんさ)神経痛といった機能的神経疾患などの診療に当たっています。19年には、血管内手術や開頭による脳腫瘍摘出術など脳神経外科関連の手術を223件実施しました。

 主に運動器の疾病を扱う整形外科でも各医師が専門分野を持ち、高度な治療を求められる状況では一歩踏み込んだ診療を行っています。19年は1924件の手術を行いました。近年は高齢者の骨折が増えており、早期治療、早期社会復帰を目指しています。

 また、当院は地域の医療機関にとって画像センターとしての機能も担っています。4台のMRIは24時間使用可能で、他院から撮影依頼を受けています。

 アート作品や、地域のアーティストらによる絵画や写真などを多数展示しているのも当院の特徴の一つでしょう。病院は病気を治す所。快適で、癒やされる場でなければいけません。音楽会も、今は新型コロナウイルスの影響で中断していますが、これまでは月2回、パッチ・アダムスホールで開催してきました。

 ―職員教育について、「めだかの学校」という言葉を使っています。どういう意味でしょう。

 経営理念には「職員ひとりひとりが幸せで、やりがいのある病院」も掲げています。これを推し進めていくうちに、学習型病院の方向性が生まれました。

 童謡「めだかの学校」では「だれが生徒か先生か みんなで元気に遊んでる」と歌います。教えている人も、教えられている人も、共に学びながら成長する場にしたいと考え、働く環境の整備や学会活動、院内研修、海外研修などの支援に力を入れています。

 また、当院の1年の方向性を決める「経営指針書」は職員全員参加で作成しています。毎年秋に各職員には戦略シートを書いてもらいます。年末には幹部が集まって意見を集約し、正月に各部門の経営方針を発表します。方針に基づき、各部門は具体策を立案し、経営指針書にまとめ、3月に発表します。

 みんなが意見を出し合うことで自分の部署にとどまらない全体的な視点が養われますし、新たな考えも入ってきます。風通しの良い病院になればと思っています。

 ―今後の岡山旭東病院の目指す方向性はいかがでしょうか。

 やはり、さらなる病院機能の向上でしょう。17年12月には、海外からの患者さんを受け入れる体制が整っているとして、JIH(ジャパン・インターナショナル・ホスピタル)推奨病院の認定を受けました。17年の外国の患者さんは94人でしたが、JIH認定後の18年は231人、19年は390人と増えてきています。

 今後は、国際的な医療機能評価機関であるJCI(ジョイント・コミッション・インターナショナル)の認定が受けられるような下地づくりに取りかかろうと思っています。JCIは、患者さんの安全性や高品質な医療、継続した院内の改善活動などを世界基準で評価します。国内の認定医療機関はいずれも名の通った大規模病院です。当院にとって負担は大きいとは思いますが、「患者さん第一」を念頭に、業務の枠を超えた一体感が院内で醸成できればと思っています。

 よしおか・じゅんじ 土佐高校、岡山大学医学部卒業。同大学付属病院、香川県立中央病院を経て、米国ミシシッピ大学に留学。帰国後、香川医科大学を経て、1988年より岡山旭東病院脳神経外科部長、診療統括部長を歴任し、今年4月から岡山旭東病院病院長。専門は、脳神経外科全般で脳動脈瘤(りゅう)の外科治療、顔面けいれん、三叉神経痛など。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医・指導医、Fellow of the American Heart Association

 ■公益財団法人 操風会 岡山旭東病院

岡山市中区倉田567-1
086-276-3231
 【診療科】脳神経外科、整形外科、脳神経内科、内科、麻酔科、リハビリテーション科、救急科、放射線科、循環器内科、形成外科、リウマチ科、泌尿器科、皮膚科の13科
 【病床数】214床
 【ホームページ】https://www.kyokuto.or.jp
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2020年07月20日 更新)

タグ: 岡山旭東病院

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