文字 

米国心臓学会論文 矢田講師(川崎医大)が最優秀 高血圧治療へ応用期待

矢田豊隆講師

 川崎医科大(倉敷市松島)の矢田豊隆講師=医用工学=が、血管内皮の拡張因子に関する研究で、米国心臓学会の二〇〇五年度最優秀賞を受賞した。心拍数増加時に起こる血管拡張に、過酸化水素が作用していることを生体実験で解明した研究が評価された。

 心拍数増加時は体内に必要な酸素を多く取り込もうと血流が増え、血管を広げる現象が起こる。

 矢田講師は、拡張作用物質として既に知られる一酸化窒素に加え、同じ血管内皮から分泌される過酸化水素に着目。心拍数を上げた犬で実験した結果、一酸化窒素の分泌を抑える物質を投与すると、太さ百マイクロメートル以上の小動脈は縮小したが、さらに細い動脈はわずかに縮んだだけだった。過酸化水素を抑える物質を合わせて投与すると、ほぼすべての血管拡張がなくなることを突き止めた。

 高血圧治療などへの応用が期待され、矢田講師は「新薬の開発などにつながるよう研究を進めたい」と話している。

 賞は二〇〇四年度に創設され、血管内皮にある拡張因子に関する論文を執筆した研究者に贈られる。

 日本人の受賞は今回が初めて。今月中旬、米国で開かれた学会で授賞式があった。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年11月30日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ