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連載「…母を支えて」執筆の野田さん岡山で講演  家庭の「介護力」保険に考慮して 現行制度へ要望 親との日々葛藤も語る

脳卒中患者らの会合で講演する野田さん

 本紙くらし面で「アルツハイマーの母を支えて 中年息子の介護記」を連載しているフリーライター野田明宏さん(49)=岡山市西大寺東=が十一月三十日、同市であった脳卒中の在宅患者と介護者の会合で講演。介護保険制度でお年寄りが利用できる在宅介護サービスの限度額を決める際、本人の要介護度だけでなく、家庭の「介護力」も考慮するよう要望した。

 野田さんは高齢者介護をテーマに取材、執筆し、三年前から母(78)を一人で在宅介護している。講演では、介護力に違いが出る要因として、介護者が仕事を持っているかどうかなどのほか、排せつの介助を例に挙げ「潔癖な人は抵抗が強く難しい」と指摘。「介護力はさまざま。介護保険の中でも、お年寄りの要介護度とは別に、その家庭の介護力がどのくらいあるか、把握した方がいい」と提案した。

 また、介護者として心の葛藤(かっとう)を語った。母がアルツハイマー病と分かった当時は「認知症専門病院を取材した経験からアルツハイマーに違いないと思ったが、あらためて宣告されるのが怖かった。母親の友人からも妄想発言があると指摘され、覚悟を決めて精神科に出向いたら既に中期後半と診断された」という。

 母が自力で入浴や食事、歩行するのが次第に難しくなっていく姿と接してきた日々を振り返って「切なくなるが、介護に忙しく切なさに浸っている間がない。そのことが後で自己嫌悪となって返ってくる」と話した。一方、母を介護しながら、その体験を執筆しているため「常に介護のことが頭にある。自分の時間は介護から離れたくなる」と複雑な心境を打ち明けた。

 岡山市の中学校区単位である脳卒中患者グループ「元気の出る会」のうち、市中心部の六団体が年一回の「いきいき交流会 介護者のつどい」に招いた。介護保険は六十五歳以上の人のほか、四十歳以上六十五歳未満でも脳卒中など特定疾病の場合は利用できる。聴講した約六十人は質疑応答で、アルツハイマー病の進行などについて熱心に質問していた。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年12月07日 更新)

タグ: 介護高齢者福祉医療・話題

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