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「3密そろう環境は身近にある」 厚労省対策班の中瀬克己教授に聞く

感染拡大防止のため濃厚接触者の調査に注力するべきと指摘する中瀬教授

 新型コロナウイルスの収束が見通せない。私たちはどう感染防止に努め、行政にはどのような方策が必要か。岡山県内での感染者が100人となった5日、厚生労働省クラスター対策班メンバーの中瀬克己・吉備国際大教授(公衆衛生)に尋ねた。

 ―岡山県内の感染動向をどうみるか。

 第1波以降の再拡大は予測されていた。とはいえ、若者を中心にこの1カ月の増加速度はあまりにも速い。緊急事態宣言の解除に伴い人の移動が増えたことが要因の一つだが、100人という数字は改めて真剣に新型コロナと向き合うタイミングだ。

 ―岡山市内でクラスターが相次いだ。

 全国的に「夜の街」が注目されているものの、実態は「3密」(密閉、密集、密接)の条件下でクラスターは起きるということだ。「夜の街は自分には関係ない」と思う人もいるかもしれないが、3密がそろう環境は身近にあることを意識しなければならない。

 ―夏休み、お盆と移動が活発になる。注意点は。

 手指消毒とマスクの着用、そして3密回避の再度の徹底を呼び掛けたい。お盆に帰省してもよいが、遠くの家族が久しぶりに集まると3密になりやすい。念には念を入れ、しっかりと対策を取った上での行動を心掛けてほしい。

 ―感染拡大を食い止める方策は。

 岡山県内では感染経路が追えているケースが多い。行政は第1波の時と比べて感染の検査や接触者の追跡調査に慣れてきている。感染拡大の防止には接触者をたどっていって食い止めることが有効。医療体制の充実も重要だが、調査担当者を増やすということに注力するべきだ。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2020年08月06日 更新)

タグ: 感染症

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