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(6)看護研修 笠岡第一病院看護部長 中尾留美

一日の実習を終えての反省会風景

輸液ポンプ取り扱いの勉強会

中尾留美氏

 笠岡第一病院の研修受け入れの実際についてタイプ別に紹介してまいりました。最後は看護研修の臨地実習についてです。

 私たち看護師が免許を取得するにはいろいろな教育制度があります。学ばなければならない看護基礎教育プログラムは、基礎分野、専門基礎分野、専門分野(成人・老年・小児・母性・精神・在宅・看護の統合と実践)などがあり、その中に臨地実習があります。

 臨地実習とは、看護専門職を目指している学生が、実際に病院や福祉施設等へ出向いて臨床での実践を学ぶ授業のことです。当院では2014年より倉敷翠松高等学校看護科専攻科2年生の小児看護学臨地実習の受け入れをしています。毎年2~3グループ6~9人程度、実習期間は5日間となっています。

 実習では、学生が計画を立て、入院患児の受け持ちや外来の診察、処置等の見学実施を行います。学内で学習した技術や知識を用いながら患児や親に関わります。

 当院は、地域に根ざした急性期の病院ですので、入院は平均在院日数が3~4日前後と入れ変わりが早く、感染症などの疾患が多いため患者数は季節によって変動します。入院から退院までとても忙しいのが現状です。その中で学生は小児の発達段階に応じた声かけ、指導方法の違いなどを学び、机上で学んだ知識を実践と結びつけていきます。

 病棟実習では入院患児1人を受け持ちます。そこでは、教科書通りにいかない現状に戸惑い、悩み、つまずきながら立案した計画を、相談・指導を受けながら実施していきます。そして実習での関わりを通し、反応を得て人間関係を深めていきます。その経験は、看護の楽しさや自分の看護観をはぐくむ機会となります。

 また、現場での問題を相談し解決方法を学ぶことで、問題解決能力を養うことや、患者さまを中心に他職種との連携、協働について理解し臨床看護を行うために必要な能力と態度を育てる場となっています。

 当院の実習は教育担当者と専攻科教員が中心に関わりますが、教育担当者だけでなく、誰でも学生に向き合う姿勢で取り組んでいます。また、実習の受け入れは小児看護学だけでなく、地域病院の役割や取り組みを紹介できる機会であると考えています。

 ありがたいことに臨地実習をきっかけとし毎年入職につながっています。今までに8人の看護師が仲間として働いており、現在も6人が戦力看護師として活躍しています。今後も次世代を担う看護師を育てるお手伝いができれば幸いです。

     ◇

 笠岡第一病院(0865―67―0211)。連載は今回で終わりです。

 なかお・るみ 1988年看護師免許取得。99年に笠岡第一病院に就職し、2014年看護師長、20年看護部長就任。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2020年10月05日 更新)

タグ: 笠岡第一病院

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