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第48回 岡山大病院③ 腎臓・糖尿病・内分泌内科 早期発見へネットワーク発足

CKDの早期発見・治療を目的とした「OCKD-NET」の世話人会

槇野博史教授

大塚文男助教

 予備軍を含めると成人では二千二百万人以上がかかっているとされる糖尿病。腎臓・糖尿病・内分泌内科では、その三大合併症の一つである糖尿病性腎症の発症メカニズムの解明、治療法の開発に力を入れてきた。

 糖尿病性腎症は、血液をろ過して尿をつくるフィルターに当たる腎臓の「糸球体」が高血糖によってダメージを受ける病気。初期に自覚症状は出ないが、病状が進むと全身のむくみや高血圧が生じ、腎臓の機能が低下する。

 同科では月に約千人の糖尿病患者が訪れており、うち同腎症が約40%を占める。進行度合いに応じて投薬や食事療法、透析などを行っているが、槇野博史教授は「腎症の早期発見が何よりも重要」と指摘する。

 こうした問題意識から、槇野教授が中心となり、腎臓専門医とかかりつけ医によるネットワーク組織「OCKD―NET」を二〇〇七年七月に発足させた。

 糖尿病性腎症や慢性糸球体腎炎などの慢性腎臓病(CKD)の早期発見・治療を目指し、岡山大病院など岡山市内六病院の腎臓専門医と地域のかかりつけ医の計約九十人が年二回のセミナーなどによる情報交換、CKD患者の紹介といった病診連携を進めている。

 槇野教授は「病院や診療所との連携を通じ、一人でも多くの透析患者を減らすのが狙い。まずは岡山市内でモデルをつくり、将来的には岡山県内全体に広げたい」と意欲を見せる。

 内分泌疾患の分野では〇六年九月、国立大学病院としては初の「内分泌センター」が開設。甲状腺、脳下垂体や副腎の病気など診療対象は多岐にわたり、〇八年に地域の医療機関から岡山大の地域連携システムを通じて紹介された患者は約三百五十人とセンター開設前の約三倍に増えている。

 同センターの大塚文男助教は「内科、外科の枠を超えた診療が強み。〇八年四月からは病棟診療での連携も始まっており、今後も地域の中枢的な専門施設としての役割を果たしたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年03月30日 更新)

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