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第56回 倉敷平成病院 脳卒中トータルケア リハビリと手術充実

脳出血患者を手術する高尾医師(中央)と篠山医師(右)

 心音が規則正しく響く手術室。「ドゥラ(硬膜)、開けます」。2日前に脳出血を起こした70代男性の脳を、最新の手術用マイクロ顕微鏡が室内のモニター画面に映し出す。

 執刀するのは高尾聡一郎脳神経外科医長。脳を傷めないよう器具を操って奥へとかき分け、たまった血腫を吸い取る。

 「ここでいいですね? オーライ」。隣でサポートする篠山英道脳神経外科部長らと確認し合いながら慎重に進める。手元は数ミリ単位の繊細な動きが求められる。

 脳神経外科では、脳卒中の急性期疾患をはじめ、脳動脈 瘤 ( りゅう ) や脳 腫瘍 ( しゅよう ) など手術に力を入れる。脳神経外科、神経内科、麻酔科の医師7人でつくる「脳卒中チーム」が24時間、いつでも手術できる態勢を整えている。

 手術実績は2008年度は107例。07年度(87例)、06年度(27例)から大幅に増えた。発症後、3時間以内に施せば後遺症が出ない超急性期の脳 梗塞 ( こうそく ) 血栓溶解療法「t―PA」は、05年10月の認可からこれまでに7例を実施した。

 さらに、患者の「命」を支えるリハビリは、県内最大規模の充実ぶりを誇る。

 回復期リハビリ病棟は88床。理学療法士、作業療法士などスタッフは総勢90人に上る。リハビリと手術は治療の“両輪”と位置づけてきた。

 今月15日には、県西部では初となる最新の高性能検査装置「3テスラMR」が稼働する。従来のMRI(磁気共鳴画像装置)と比べてより高画質な画像が撮影でき、脳ドックや、脳神経疾患の検査精度のアップが期待される。

 高尾医長は「脳は一貫して自信を持ってやってきた分野。超急性期への対応をはじめ、医療サービスを地道に充実させていき、地域に貢献していきたい」と語る。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年06月08日 更新)

タグ: 脳・神経脳卒中

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