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第57回 岡山大病院④ 眼科 年間手術1600件 院内トップ

電子カルテを用いて症例検討する松尾准教授

 視野が狭くなり失明につながる緑内障や物がかすんだりぼやけて見えたりする白内障をはじめ、糖尿病や加齢などにより、目の奥の網膜に生じた出血などの疾患を治療する網膜硝子体手術などを主に手掛ける。

 手術数は年間1600件で、岡山大病院ではトップの件数を誇る。手術別では網膜硝子体と白内障が約500件、斜視が250件、緑内障が150件など。角膜移植も十数件実施している。

 19人の常勤医で膨大な数の手術を実現させている秘けつは、確実な病床管理に、他の診療科や県内外の関連病院との連携がある。

 自前の30病床が埋まっていても、空いている他の診療科のベッドを借りることで、網膜 剥離 ( はくり ) や重度の緑内障など、緊急性の高い症状の手術は、診察当日か翌日に実施することを可能にした。遠方の患者には、居住地域の関連病院を紹介、術後の管理を任せるなどの協力体制を築いている。

 白内障など、緊急性があまり高くない場合は患者の都合を優先する。仕事などのスケジュールを考慮し、来院しやすい日程を選んでもらう体制を整えている。

 初診から手術まで1カ月以上待つこともあったという状況が改善されたきっかけは、2004年4月の国立大学の法人化という。松尾俊彦准教授は「病院自体もそうだが、看護師や薬剤師、視能訓練士らスタッフの意識が徐々に変化。スキルが向上したことが何より大きい」と話す。

 同病院が導入した電子カルテシステムも診療体制の改善を下支えする。視力、視野、眼底など多くの検査結果を瞬時に呼び出せるようになり、効率化につながっているという。

 松尾准教授は「普遍的な手術をいかに高いレベルで提供していくかがわれわれの使命。今後も患者さんの目線に立った治療を心掛けていきたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年06月22日 更新)

タグ: 岡山大学病院

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