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水+食塩+キャンデー 熱中症予防へドリンク 手軽に作れ、小刻みに飲用 岡山大・鈴木教授に聞く

鈴木久雄教授

食塩と水を使うだけでスポーツドリンクは簡単に作れる

 多くの小中学校はきょうから夏休み。夏本番はこれからだが、すでに増加傾向の熱中症には注意が必要だ。こまめな水分・塩分補給が予防の基本ということで、重宝するのがスポーツドリンク。自分好みのドリンクを安く手軽に作れると聞き、岡山大スポーツ教育センターの鈴木久雄教授(運動生理学)を訪ねた。

 熱中症は、高温環境への体の適応障害。人体は熱くなると発汗や皮膚表面からの放熱で体温を下げ、ある程度適応できるようにできている。だが、汗の量が増えて体内の水分や塩分が失われると、体温調整機能が破たんして体に異変が起きる。

 軽度はふくらはぎのけいれんや立ちくらみ、中等度は目まい、吐き気などを伴う。重症になると、意識障害が起きたり、汗が止まって体温が上昇。命の危険も高まる。

 鈴木教授は「予防の基本は、水分のこまめな摂取」と話す。汗で出る水分を、飲むことで補うのだが、水と一緒に欠かしてはならないのが塩分の摂取。

 水分だけを補給すると、血液の塩分濃度が低下し、筋肉が熱けいれんを起こす。お茶だとカフェインの利尿作用でかえって水分を失うことになる。「だから、水と塩分のバランスが取れたマイドリンクを作って持ち歩くのが良いのです」

 用意するのは、ペットボトルに入れた水2リットルと食塩3グラム、好みのキャンデー数個。水に食塩を溶かせば基本的には出来上がりだが、飲みやすくするとともに、糖分で体内への吸収を良くするため、キャンデーを入れる。キャンデーは1時間もすれば自然に溶ける。

 鈴木教授のお薦めはレモンやグレープフルーツなどのかんきつ系。甘いのが苦手な人はレモン果汁でもいい。

 飲むタイミングも押さえておかなくてはならない。のどが渇いてからより、渇く前。渇きを感じるころには体はかなり危機的な状況になっている場合が多いのだそうだ。「何か活動を始めたり、外出する前に飲み、その後も15分か20分おきに小刻みに飲むように」とアドバイスする。

 熱中症になりやすいのは、体温調整機能が未発達な子どもや、衰えている高齢者。病み上がりや肥満の人もリスクが高い。また猛暑日や炎天下でなくても、風がなく湿度が高い日にも発症は増える。鈴木教授は「体育館や家の中にいても油断は禁物」と注意を促す。

 消防庁の全国調査によると、熱中症患者の救急搬送の週別推移は、6月末から倍増し、すでに週千人を超えている。6月1日から7月10日までに21人が搬送された岡山市の場合、冷夏だった昨年の同期に比べ2割ほど増えている。

 今年の夏は、家族でそれぞれのマイドリンクを作り、熱中症対策を万全にしたい。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年07月17日 更新)

タグ: 健康

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