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熱中症で救急搬送多発 倉敷、笠岡で死者も 7月搬送289人 昨年7、8月合計と同数

熱中症の予防法などについて話す松尾医師

 厳しい暑さが続く中、県内で熱中症患者(疑い事例を含む)が医療機関に救急搬送されるケースが多発している。7月の判明分は289人(速報値)と、既に昨年7、8月の合計と同数。ここ10日間では倉敷、笠岡市で各1人が死亡するなど増加傾向で、県内の各消防本部などが注意を呼び掛けている。

 消防庁などによると、県内で救急搬送された熱中症患者は6月1日〜8月4日午後5時までで443人。6月は54人だったが、7月は289人へと急増し、8月に入ってからは1日平均25人のペースで推移。7月26日には、倉敷市の男性(56)が屋外で作業中に倒れ、搬送先の医療機関で死亡。8月3日にも笠岡市で農作業中の男性(61)が同様に死亡している。

 7月の状況を見ると、症状別では軽症が187人と最多で、3週間以上の入院を要する重症者も10人。「高齢者が屋外で活動中、気分が悪くなって運ばれるケースが多い」と笠岡地区消防組合。8月1日から4日午後5時までに44人を搬送した岡山市消防局は「帰宅後に容体が悪化したり、室内に長時間いて、なる人もいる」。

 7月16日以降、県内では気象庁の16観測地点中13地点で最高気温が30度を超える日が続いている。岡山地方気象台は「厳しい暑さは当面続きそうだが、湿度が高い日も発症する傾向がある。こまめな水分補給を心掛けてほしい」としている。


適度な水分、塩分補給を

岡山医療センター 松尾医師に対策聞く

 命の危険にもつながる熱中症。国立病院機構岡山医療センターの松尾潔医師(呼吸器科・内科)に、注意すべき点など対策について聞いた。

 ―例年に比べ熱中症患者が多い。

 「一番の原因は気温の高さだろう。熱中症は高い気温や湿度などで体から熱が逃げにくくなり、体温調節ができなくなることで起こる。35度を超えると熱中症リスクは増す。これからしばらくは注意が必要だ」

 ―炎天下だけでなく、室内でも発症する。

 「日差しが強ければ、室内でも30度以上になることは十分考えられる。たとえじっとしていても発汗は進む。適度な水分補給を心掛け、閉め切らないようにしてほしい。家事の際も注意が必要。ガスこんろの前で熱気を浴び続けているのに、水分を一切摂取しないのは危険だ」

 ―水分補給時に気を付けることは。

 「汗をかくと、体からは水分だけでなく、塩分も放出される。このため、水やお茶だけだと、血液の塩分濃度が下がってしまい、体がだるいなどの症状が出る。スポーツドリンクをはじめ、水と塩にレモンやはちみつを加えて飲むなどしてほしい。塩分を取るために毎朝一杯、みそ汁を飲むのもいいだろう」
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年08月05日 更新)

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