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<解説>岡山の病院 04年治療実績アンケート 診療所と連携強化を 

 岡山県内の病院・医院が二〇〇四年に行った治療実績について、山陽新聞社が行った調査によると、多くの手術は県南部の専門医がいる大病院に集中、“かかりつけ医”の機能を持つ地域の診療所との役割分担が一層重要になっている。

 厚生労働省は今秋、診療所へ受診の流れを促進する考えを示した。必ずしも大病院での治療を必要としない患者が紹介状を持たない場合、自己負担を増やす。破たん寸前の医療費抑制のために急性期医療を大病院で行い、経過治療を自宅近くの病院・診療所で行う環境を整える狙いがある。

 今回の調査で、高度な技術が必要な手術件数は大病院で多く、特定分野の専門化を推進する動きも裏付けられた。患者が退院した後、大病院と自宅近くの診療所の医師が連携しながら経過をみたり、「地域連携推進室」を設け患者を紹介し合うケースもある。ただ、岡山大医歯薬学総合研究科の西田在賢客員教授(医療経営・政策学)は「まだ多くの人に大病院は安心という考え方が根底にあり、診療所受診の流れは始まったばかり」と言う。

 高度な医療を提供する拠点病院の形成はもちろん重要。しかし、患者本位の医療、地域住民の健康増進を図るには、これまで以上に人材育成や医療機関同士の交流を進め、医療全体のすそ野を広げる必要があるだろう。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年12月28日 更新)

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