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(9)大腸内視鏡健診開始に当たって 津山中央病院副院長(事務・健診担当)宮島孝直

プレミアムラウンジ スーパードック専用ラウンジ

PET―CT(2019年2月更新)

宮島孝直氏

 津山中央病院健診センターは2005年の開設より地域の健診事業の一端を担うと共に、PET―CT、MRI等を利用したがんドック、脳血管ドック等の人間ドックにも力を入れています。また、健診・人間ドックとも要望の高い胃カメラによる上部内視鏡検診をできるだけ多くの方に実施できるように努力しております。

 健診のオプションプログラムもがん検知のためのマイクロアレイ、動脈硬化指標のロックスインデックス、慢性胃炎・ピロリ菌感染評価のためのABC検査等も用意しています。骨密度に関しても最新の機械を導入し、骨密度の全身分布状態も測定可能です。14年からは各種検査を集中化して2日で上下部内視鏡・全身がん精査・脳血管精査を施行できるスーパードックを開始しています。

 16年からは、このスーパードックを中国人等の外国人にも施行するインバウンドスーパードックも開始しています。スーパードック受診の方々にはゆっくりとくつろいで受診していただけるプレミアムラウンジも新設しています。

 さらには隣接するフィットネス施設「カルヴァータ」とのコラボレーションによる体力・骨密度・健康年齢等の健康指標の評価、それらの改善プログラムの提案等も近々開始予定です。

 今回、大腸内視鏡を健診プログラムとして追加しました。前処置が必要なため一般健診との同時受診は難しいのですが、前述の健康指標測定プログラムや一般健診のはざまの健康チェック等の追加のカスタマイズも可能です。また大腸内視鏡経験者の方であれば自宅での前処置についてもご相談できます。

 ある報告では、無症状検診受診者2万1805人に対して全大腸内視鏡検査を行った結果、約20%に腫瘍性ポリープを認め、約1%にがんを認めました。便潜血検査の結果で分けて検討すると、便潜血陽性の場合には36・5%に腫瘍性ポリープを認めましたが、便潜血陰性でも18・8%に腫瘍性ポリープが認められました。さらに便潜血陰性でも0・5%の方にはがんが発見されており、「便潜血が陰性」ならば「ポリープがない」「がんではない」とはいいきれない、つまり「便潜血が陰性」でも「ポリープはありえる」「がんの可能性はある」といえ、大腸内視鏡検査の有用性が報告されています。

 近年大腸がん・大腸炎症性疾患は増加傾向にあり、その早期発見は健康診断の一環としても重要になってくるかと思います。ご検討いただければ幸いです。

 今後とも地域の方々のご要望に応えるべく、健康増進のために研さんし、健診機能の充実、健診被験者の方々の満足度向上に努めていく所存です。当津山中央病院健診センターをよろしくお願いします。

     ◇

 津山中央病院(0868―21―8111)。連載は今回で終わりです。

 みやしま・たかなお 岡山大学医学部大学院卒。専門は肝胆膵外科、形態病理学(学位取得)、医療情報学。1990年より津山中央病院勤務、肝胆膵外科部長を経て同副院長。99年の同病院電子カルテ稼働に参画。2014年より同健康管理センターのシステム構築にも参画。現在、川崎医科大学附属病院情報システム室特任教授併任。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年01月18日 更新)

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