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白血病患者の力になりたい 坂本尚代さん(真庭) 骨髄移植受け社会復帰 電話相談で闘病体験語る

白血病患者の電話相談を受ける自宅で、子どもたちとくつろぐ坂本さん

 骨髄移植を受けて白血病から社会復帰した真庭市宮地、主婦坂本尚代(ひさよ)さん(40)が、同じ病気で悩む患者をサポートしようと自宅で電話相談を続けている。今夏は生存率40%とされる移植後丸五年の節目。再発の不安を抱えながら「大切な家族のためにも生きて、社会に病気への理解を訴えたい」と決意を新たにしている。

 坂本さんは二十一歳になった一九八七年春、血液をつくる骨髄幹細胞機能が低下して起きる「再生不良性貧血」を発症。約九カ月の入院で克服したが、「骨髄異形成症候群」を経て二〇〇〇年十二月に慢性骨髄単球性白血病と診断された。

 医師から「あと三年」と告げられた時、長女は小学一年、長男は保育園児。闘病中は抗がん剤の影響で吐き気やだるさが続き、骨髄移植後は嘔吐(おうと)を繰り返した。精神的に追い込まれる中、病棟で同じ病気と闘う患者との出会いが支えになった。

 「同じ立場の人につらさを分かってもらえるだけでも落ち着く。私もそうだった」。坂本さんの電話相談は〇四年夏から始まった。現実を受け入れたくない患者の思いや憤り、「発病した妹のために何ができるか」といった家族の悩みにじっと耳を傾ける。闘病体験を余さず語り、「現実を受け入れ、前向きに生きる意志を持とう」と話すことにしている。

 今も月一回通院し、感染症を避けて外出を控えることが多い。しかし、再生不良性貧血を発症した時、「出血は命取りになるから」と結婚、出産をあきらめるよう言われたつらさを乗り越えた今、「家族の笑顔が生きる力」と言い切る。

 ドナー(提供者)が見つからず、移植を断念する白血病患者は多い。坂本さんは「多くの人の協力で助けられる命があることを社会に知ってほしい」と願っている。相談電話は0866523129。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年01月01日 更新)

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