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(3)肝臓病センターにおける薬剤師としての役割 岡山済生会総合病院肝臓病センター所属薬剤師 清水久美子

清水久美子氏

 ■薬物治療を受けるにあたって

 どんなに優れた治療薬でも、飲みにくかったり、副作用などの不安から服用を中断してしまうと薬の効果が十分にあらわれず、治療がうまくいかなくなってしまいます。

 例えば、肝細胞がんに対する薬を使用した場合、血圧上昇やタンパク尿、手のひらや足の裏が痛くなったりと副作用が起こることがあります。

 内服量や使い方が患者さんに合わせた治療になっていること、また、起こりうる副作用を知っていただくことで早めに相談対応できることをお伝えし、困っていること、不安なことを少しでも改善できるように日々取り組んでいます。入院中、内服前後で体調に変化がないか、血液検査、尿検査の結果を薬剤師も確認し、お薬の量を調節・提案する必要がないか、判断するようにしています。

 ■お薬飲み過ぎていませんか~ポリファーマシー

 図1のように、75歳以上では七つ以上の薬を約4人に1人が処方されています。薬は指示通りに飲むことが重要ですが、毎日多くの薬を1日に何回も服用するのは大変なことです。

 図2のように、高齢者では処方される薬が六つ以上になると有害事象(副作用)が起こる可能性が急激に高くなります。さらに転倒も5種類を超えると多くなります。

 ポリファーマシーという言葉を聞いたことがあるでしょうか。Poly(多くの)+Pharmacy(薬)となりますが、患者さんの病態、生活、環境により適正な処方も変化するので、薬が多いことが必ずしも悪いことではありません。内服薬が多くなることで、有害事象(副作用)、重複投与、内服間違い、飲み残しなどのいろいろな問題につながる状態を指しています。

 複数施設で多剤処方されている場合や、薬の副作用が出て、その副作用を抑えるために薬剤を新たに追加処方される場合も内服薬が増える要因となっています。

 当院肝臓病センターでは、医師・薬剤師・看護師など他職種参加のもと、入院された方の内服薬の確認、注意点、減薬・代替薬への相談など退院にむけてポリファーマシーカンファレンスを行っています。

 ■お薬手帳お持ちでしょうか

 受診している病院がいくつかある方、胃薬・鎮痛薬・睡眠薬など、薬品名は違うけれど同じ効果のあるものを重複して内服している可能性のある方、相互作用など、お薬手帳で気づけることはたくさんあります。また、退院後の注意事項などをお薬手帳へ記載し、かかりつけ医院やかかりつけ薬局への情報提供ができる大切なツールとして利用させていただいております。

 クスリは逆から読めば、リスク。間違った飲み方をせず、安心して薬物治療が受けられることが大切です。不安がある場合は、かかりつけ医院や薬剤師へご相談ください。

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 岡山済生会総合病院(086―252―2211)

 しみず・くみこ 倉敷南高校、徳島文理大学薬学部卒。2015年より岡山済生会総合病院勤務。肝臓病センター所属。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年03月01日 更新)

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