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ハンセン病への差別、偏見…「語り部」の半生描く ドキュメント映画完成 長島愛生園(瀬戸内)元自治会長石田さん 

長島愛生園でのロケに臨む石田雅男さん(左)と小林綾子さん(共和教育映画社提供)

 元ハンセン病患者への差別、偏見の解消について、「語り部」として全国で講演し訴えている国立ハンセン病療養所・長島愛生園(瀬戸内市邑久町虫明)の元自治会長石田雅男さん(69)=鳥取県境港市出身=の半生を描いたドキュメンタリー映画「ハンセン病―今を生きる」が完成し、十二日、同園で試写会が開かれた。

 作品は四十九分。十歳で発病した石田さんが、自宅から警察官に連れ出され、母親が「二度と会えん」と狂乱するシーンから始まる。同園の監房跡の写真などを交え、らい予防法廃止(一九九六年)以前、日常的に行われた懲罰的な待遇、結婚や子どもを持つことも望めなかった実態を振り返る。

 石田さんの著書を読んだ女優小林綾子さんも出演し、予防法廃止後に石田さんと結婚した妻懐子(なつこ)さん(56)、元患者の歌人谷川秋夫さん(81)と対談。講演をきっかけに現在も続く鳥取県の大山西小学校卒業生たちとの交流も描かれている。

 共和教育映画社(大阪市北区)の八頭司(やとうじ)享社長が昨春、兵庫県で石田さんの話を聞き「入所者の平均年齢は既に八十歳近い。一刻も早く差別、偏見を解消し、真の社会復帰を支援したい」と石田さんに打診。昨年六月から、愛生園や大山西小などで撮影した。

 石田さんは国の隔離政策を違憲とした熊本地裁判決(二〇〇一年五月)後、小中学校などで年間数十回講演している。

 試写会に出席した長島愛生園入所者ら約三十人に対し、石田さんは「病気は治ったが、われわれは今も後遺症と闘いながら懸命に生きている。映画がハンセン病を正しく理解する一助となってほしい」と語りかけた。

 映画はビデオ、DVD化し、人権啓発教材として全国の自治体向けに販売する予定。問い合わせは共和教育映画社(06―6312―2645)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年01月13日 更新)

タグ: 高齢者福祉医療・話題

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