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コロナ後遺症外来 大塚副院長に聞く 個人差大きく継続観察する必要

「後遺症が軽減するまで患者を継続してフォローしていく必要がある」と話す大塚副院長

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)が新型コロナウイルス感染症の後遺症に悩む患者に対応する「コロナ・アフターケア外来」を開設(2月15日)し、3カ月がたった。これまでに受診した患者は計23人(15日時点)に上り、大半が倦怠(けんたい)感を中心に嗅覚障害や味覚障害といった複数の症状を訴えている。

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 なぜ後遺症が残るのか、患者はどんな治療を受けることになるのか、広がる変異株への対応は―。コロナ・アフターケア外来が開設された岡山大病院総合内科・総合診療科の科長を務める大塚文男副院長に聞いた。

 ―後遺症が続くのはなぜか。

 「仕事に復帰したが、これまでのように働けない」「ずっとやる気が出ない」「前ほどの体力が戻らない」など、受診する患者の訴えはさまざまで個人差が大きい。時間の経過とともに改善する症状もあり、メカニズムはまだよく分かっていないのが実情だ。

 例えば、訴える患者が多い全身倦怠感の場合、甲状腺や副腎といった関連が想定される臓器の機能を検査しても、すぐに投薬治療が必要になるほどの異常が見られた患者はいなかった。

 ―ではどう治療するのか。

 このような倦怠感に対しては、体力の回復を促す漢方薬を処方し、症状軽減を図るケースが多い。

 身体的な疲労について調べると同時に、医師が外来でじっくりと話を聞くことで、感染に伴う不安をはじめとした精神的・心理的な不調の軽減につなげている。深刻な場合は、院内の精神科神経科とも連携して治療を進めることになる。

 味覚障害では原因として考えられる亜鉛や鉄が欠乏する内科疾患の有無を確認し、不足していれば投薬で対応する。耳鼻咽喉(いんこう)科でも粘膜や神経に問題がないかを調べる。

 ―受診後の患者の様子は。

 現在治療中の患者はいずれも症状が軽減傾向にある。とはいえ、このまま症状が完全に消え、以前のように戻るかどうかは、継続して様子を見ていく必要がある。

 患者は日常生活を送りながら通院することになるが、各担当医がフォローアップしている。

 ―感染再拡大や変異株の広がりを受け、後遺症に悩む患者が増える懸念もある。

 感染してから3~5カ月での受診というここまでの受診傾向を踏まえれば、今後、患者が増える可能性はある。変異株による後遺症についてはまだはっきりしたことは言えないが、患者の苦痛を和らげるよう治療に当たりたい。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年05月21日 更新)

タグ: 岡山大学病院

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