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医療従事者の接種「手応え実感」 市民病院・今城健二副院長に聞く

 いまじょう・けんじ 専門は血液内科。岡山市立市民病院内科部長などを経て2011年から現職。県感染症対策委員会メンバーも務める。

 岡山市内の新型コロナウイルス感染者数は減少傾向が見えてきたものの、依然として高止まりが続く。収束に向けた切り札と期待されるワクチン接種が今月17日から高齢者を対象に本格的に始まっている。ワクチンの効果や副反応、流行「第4波」の現状を、感染者治療に当たる市立市民病院の今城健二副院長に聞いた。

 ―ワクチンの効果は。

 治験データで示された通りの有効性があると思う。感染力が強いとされる変異株が流行し、家族内感染が増えている中、ワクチンを接種した医療従事者は感染を回避できたとする報告が県内で複数ある。市民病院でも手応えを実感している。

 ―職員への接種状況は。

 約750人の職員への2回の接種はほぼ終わった。重いアレルギー反応「アナフィラキシー」を発症した人はいなかった。副反応は1、2回目とも接種の翌日に発熱や頭痛、接種部位の腫れ、痛みを訴えるケースが多い。こうした症状は、頭痛薬や解熱剤などの市販薬で対応できるので安心してほしい。

 ―県内では変異株による第4波が急拡大した。

 感染拡大が急速で、若い世代が重症化しやすいのが第4波の特徴だ。市内の新規感染者は減少傾向にあるが、病床にほとんど空きはなく、感染状況を示す指標は「ステージ4(爆発的感染拡大)」のまま。市民病院でも一般診療の制限を続けている。第3波まで重症化はもっぱら60代以上だったが、最近は30代も重症化している。糖尿病などの基礎疾患はなくても、肥満がリスクになっている印象だ。

 ―今、市民にできることは。

 変異株では体内のウイルス量の多い感染者が増えている。飛沫(ひまつ)に含まれるウイルス量も多くなっていると考えられる。不特定多数の人がいて飛沫が漂う屋内では、マスクをしていても長時間過ごすのは危険だと思ってもらいたい。第4波では、屋外のバーベキューで感染した事例がいくつもある。「3密(密閉、密集、密接)」ではなく、一つの「密」でも危ないという意識を持ち、対策を徹底してもらいたい。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年05月27日 更新)

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